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NBA

”アメリカ代表再生計画”——屈辱の敗戦から4年、北京五輪で栄光を取り戻した”リディームチーム”の軌跡

出野哲也

2019.11.29

守備での貢献に加え、リーダーシップを発揮しチームをまとめ上げたコビーの働きは見事だった。(C)Getty Images

守備での貢献に加え、リーダーシップを発揮しチームをまとめ上げたコビーの働きは見事だった。(C)Getty Images

 決勝戦での27得点を含め、チームハイとなる平均16.0点を稼いだウェイドをMVPに推す声は多かった(公式にはMVPは選出されなかった)。しかし、実際にこの〝リディームチーム〞で最も重要な役割を担ったのはコビーだった。

 オフェンス面では空回りする場面も目立ったけれども、守備でギリシャやアルゼンチンのエーススコアラーを封じ込め、リーダーシップという点でも主将のキッドともども若手の多いチームを牽引。だが、そのコビーが「俺たちはチーム一丸で逆境に立ち向かった」と語ったように、最大の勝因は覇権奪回という大きな目標に向かい、全員の気持ちが完全にひとつになっていたことだった。少なくとも〝一体感〞という点においては、このチームが歴代のアメリカ代表で一番ではなかっただろうか。
 
 アメリカばかりに注目が集まりがちだったが、ホスト国の中国もロケッツの大黒柱ヤオ・ミンを擁して健闘。予選ラウンドではスペイン相手にオーバータイムに持ち込む大善戦を演じ、ドイツにも勝利を収めて8位で大会を終えた。

 60年ぶりに出場したイランも、白星こそ得られなかったがハメッド・ハッダディ(元グリズリーズほか)がともに大会最高の平均11.2リバウンド、2.60ブロックをマーク。大会後にイラン人初のNBA選手になるなど、アジア勢が存在感を示した。

 しかし、この北京五輪から10年を経て、19 年のワールドカップでは、またしてもトップクラスの選手たちがアメリカ代表への参加を渋る事態に陥った。その結果、過去最低成績の7位と大惨敗。来年の東京五輪こそは気を引き締めてかからないと、再び痛い目に遭う可能性も十分に考えられる。08年の“リディームチーム”は素晴らしい成果を収めたが、同時に二度と結成されるべきではないチームでもあるのだ。

文●出野哲也(フリーライター)

※『ダンクシュート』2019年11月号より転載。
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