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NBA

“憧れ”のレナードと渡り合った八村。スーパースターからの“レッスン”を教訓に、もう1ランク上のステージへ

秋山裕之

2019.12.02

昨季ファイナルMVPのレナードとマッチアップ。攻守でレベルの高さを体感した。(C)REUTERS/AFLO

昨季ファイナルMVPのレナードとマッチアップ。攻守でレベルの高さを体感した。(C)REUTERS/AFLO

 1度ベンチへと退いた八村は、第4クォーター残り7分27秒に再びコートイン。ゴール下でさっそく加点すると、残り3分42秒にはドライブからファウルを誘いだしフリースローを獲得。これを2投中1本沈めて、自身初の30得点まで数字を積み上げた。

 後半だけで17得点をあげた八村の活躍もあり、チームは第3クォーターに追い上げムードを作ったものの、流れを奪い返すまでには至らず最終的に125-150で大敗。159失点を喫した10月30日のヒューストン・ロケッツ戦に次ぐ、今季ワースト2位の大量失点を記録し課題の守備難が露呈した。

 クリッパーズはレナードが貫録の34得点に6リバウンド、3アシスト、ジョージが31得点、8リバウンドをあげたほか、ベンチスタートのハレルが23得点、15リバウンド、ルー・ウィリアムズが22得点、8アシストをマーク。4選手が20点超えと自慢の層の厚さを見せつけ、今季成績を15勝6敗とした。

 ウィザーズは徹底マークにあったビールが23得点、11アシスト。ベンチから6本の3ポイントを沈めたダービス・ベルターンスが20得点、トーマスが16得点を記録した。
 
 キャリアハイの30得点を叩き出した八村は、両チーム最多の38分26秒プレー。フィールドゴールは試投数(23)、成功数(13)ともに自己最多で成功率56.5%。3ポイント40.0%(2/5)、フリースロー66.7%(2/3)に加え、9リバウンド、3アシスト、1スティールと、劣勢のチームのなかで気を吐いてみせた。

 試合前、八村はレナードについて「僕の大好きな選手なので、しっかりとディフェンスをして、オフェンスではできるだけのことをやって、いろいろと学べたらいいなと思います」と意気込みを語っていたが、この日のパフォーマンスはその言葉以上だった。レナードとの1オン1ではペイントエリアで相手のシュートコースを完全に塞ぎ、得点を許さないなど、守備でも奮闘したことは見逃せない。

 ただその一方で、レナードは2~3人のディフェンダーに囲まれる中でも冷静にシュート機会を作り出し、八村の目の前で強烈なダンクを叩き込むなど、ルーキーへ最高のレッスンを実演。プレーメイカーとしてもピックの多彩な使い方をこれでもかと披露し、1枚も2枚も上をいく活躍でチームを勝利へと導いた。

 常にチームの勝利を目標に掲げる八村にとって、大敗を喫したこの日の試合は素直に喜べないものかもしれない。それでも先日のレイカーズ戦に続いて、スーパースター相手に一歩も引かず立ち向かったことは何よりの収穫と言えるだろう。ロサンゼルスでの2連戦は、日本の期待を一身に背負う21歳にとって貴重な経験となったことは間違いない。

文●秋山裕之(フリーライター)
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