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NBA

チームメイトを殴ったゴベアに母国メディアは「驚き」。相手のアンダーソンは「自分たちは大人、もう終わったこと」<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2023.04.13

 フランスの『レキップ』紙は、今回の行動は、新天地ウルブズでのゴベアのこれまでの9か月間の苛立ちが爆発したものと推察。ウルブズ担当のヨン・クラウチンスキー記者も同様に、『The Athletic』に寄稿した記事に、『カイル・アンダーソンとの口論は、ゴベアがミネソタに馴染むのに苦労していること、そしてそこから生じるすべてのフラストレーションを顕著に表しているように思われる』と書いている。

 昨年夏、ユタ・ジャズから迎えられた時の交換ディールが、パトリック・ベバリーやマリック・ビーズリー、ウォーカー・ケスラーの保有権など5選手、加えて4つのドラフト1巡目指名権、26年ドラフトの1巡目交換権という驚愕の内容だったとあれば、それに見合った活躍をすることへの重責は当然あるだろう。

 しかしそれに加えてゴベアは、自分のパフォーマンスに対する極端な批判について、苦しい胸の内をたびたび口にしている。

 以前のインタビューで彼は、「僕がしていることを正当に評価しない人は多い。キャリアが始まった時からそうだった。だから僕は懸命に、賞やタイトルを獲得し続けたいんだ」と話していた。

 オールスター出場(20~22)や年間最優秀選手賞(18、19、21)、そして20年12月に2億500万ドルという、センターの選手の過去最高額で契約延長した際は、自分の評価を目に見える形で証明した思いだっただろう。

 彼を「正当に評価していない」人物の代表格であるレジェンドのシャキール・オニール(シャック)は、契約延長時にも、「『人生、何でもあり』、ということの良い証明だ。1試合11点取っただけで、2億ドルも稼げるんだから」と辛辣なコメントを発している。
 
 19年間のNBAキャリアで平均23.7点を誇ったシャックは、その半分程度しかないゴベアの得点力についてたびたび口撃している。ただゴベアは、自分から得点を奪いにいくよりも、仲間のためにスクリーンをかけたり、身体を張ってリバウンドを取ってチャンスを作るといった仕事に誇りを持っている縁の下の力持ちタイプだ。

 今季からウルブズでチームメイトとなったアンソニー・エドワーズも、まだゴベアがジャズにいた時代、「自分にとって、最強のサークルプロテクターはクリスタプス・ポルジンギスだ。ルディ・ゴベアが相手なら得点できない気がしない。彼にはまったく恐怖感を覚えない」と発言していた。

 先述のペリカンズ戦で、ゴベアがアンダーソンに思わず拳を繰り出す決定打となったセリフは、「Shut the f--- up, b——」(「黙れ、クソ野郎」的な意)だったと米メディア『ESPN』は報じている。

 サッカーの世界でも、ワールドカップ決勝戦という大舞台で、「人格者」と言われるフランスのジネディーヌ・ジダンが、相手チームの選手の挑発ワードにキレて頭突きをかまして一発退場となる一件があった。

 言われた時の精神状態であったり、その人にしかわからない急所を突き刺す一言が投げられた際、理性の糸がプツンと切れてしまうことは誰にでもある。

 今回の一件で、ゴベアは今夏に放出されるのではないかという噂も出ているが、ひとまずは、14日に行なわれる第8シード決定戦での奮闘に期待したい。

文●小川由紀子
 
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