そこでピアースから飛び出したのは、チームメイトの差だった。

「シャックを俺のチームに入れてみろ。それかレブロンとボッシュを俺とプレーさせてみてくれよ。そしたら俺が（優勝）１回だけだと思うか？俺にレブロン、ボッシュがいたら、（優勝）１回だけじゃなかっただろ？２、３回でもなかったんじゃないか？」

　ピアースはセルティックスで球団史上２位の通算２万4021得点、ウェイドはヒートで球団史上トップの通算２万1556得点を残しており、それぞれのフランチャイズを代表する選手たちなのは間違いない。

　ウェイドがシャックやレブロン、ボッシュとプレーできた要因は、チーム事情が大部分を占めていたとはいえ、ウェイドに魅力を感じたからこそ、彼らが一緒にプレーすることを決断したと見ることもできる。

　しかし、自らのプレーに絶対的な自信をもつピアースは「３ポイントシューター、スコアラーとして優れていたのはどっちだ？確かに、平均得点では彼が俺よりも上だ。（だが）俺はスリーも打てて、ミッドレンジも打てるし、ポストアップできて、フリースローも獲得できた。どっちがより優れたスコアラーなんだ？」とも話していた。
  　ピアースはレギュラーシーズン通算で平均19.7点、プレーオフでは同18.7点をマーク。一方のウェイドはレギュラーシーズンで平均22.0点、プレーオフでも同22.3点と、いずれも上回る数字を残してきた。

　両者とも試合終盤における勝負強さに定評があり、数多くの決勝弾を沈めてきたし、ウェイドほどではなくとも、ピアースも豪快なダンクを叩き込んだこともあったのだが、ピアースは番組内で愚痴とも受け取れる言葉も発していた。

「長い間、俺の持つスキルの数々が評価されることはなかった。それは偉大な選手たちとプレーすることがなかったからだ。それから、俺はようやくKG（ガーネット）、アレンと一緒にプレーできた。彼らの全盛期が過ぎた後にね」

　ピアースには熟練のスキルに加え、強靭なメンタルタフネス、トラッシュトーカーとしての一面もあり、記録よりも記憶に残る選手として脳裏に焼き付いているという方もいるはず。