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NBA

無限の才能と課題が見えた“怪物”ウェンバンヤマのデビュー戦。名将は精神面の「成熟ぶり」を高く評価<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2023.10.27

 一方、「チャレンジ好きとしては、挑戦意欲を掻き立てられた」と試合後に語ったのは、対戦したマーベリックスのエース、ドンチッチだ。

 同じ欧州(スロベニア)出身の先輩はこの試合でゲームハイの33得点をマーク。試合ラスト30秒には、ブロックに詰め寄ろうとしたウェンバンヤマをかわして勝利を決定づける3ポイントを決め、貫録を見せつけた。ドンチッチはNBAデビューを飾った後輩に驚きと期待の込もったエールを送った。

「彼には当然ながらサイズがある。それにしても、あの身長でのあの動きは、なんて言ったらいいか……彼はとにかく信じられないような動きをする。ほとんどポイントガードのような動きだ。驚異的だよ。将来、素晴らしい選手になるだろうね」

 そんなコート内外で規格外のウェンビーでも、試合の前日にはドキドキしてナーバスになったそうだ。開幕戦前の最後のトレーニング後、取材陣に「ちょっと緊張している」と素直な感情を明かしている。

「どれくらい重要な試合かにもよるけど、だいたい前の日にはちょっと胃が痛くなったりするんだ。震えたり冷や汗をかいたりするほどじゃないけどね(笑)」
 

 プレシーズンでは平均して約20分程度プレーしたウェンビーは、心肺機能への負荷について聞かれると、これまで欧州で体験してきたゲームよりも「ハードではないけれど、別物」と答えている。

「ヨーロッパはコートが小さいから、より多くの接触がある。でもここ(NBA)では、ほかのどこにもないようなランやジャンプがある。ただ、タイムアウトが多いのがいいね。それに時間も長いような気もする。だからたくさん走っても休む時間があるんだ」

 ポポビッチHCが、開幕前最後のトレーニングのあとで選手たちに授けたアドバイスは、「対戦相手よりもハードに、そして頭を使ったプレーをするように」というシンプルなものだったという。

「シンプルだけど、すべての基本はそこにある。だから、とても重要なことだと思う」

 そう先を見据えるヴィクター・ウェンバンヤマのルーキーイヤーが、ついに始動した。ドンチッチが「おそらく、NBA入りした時点で最高の有望株の1人」と太鼓判を押す期待の超新星は、どのような旋風を巻き起こすのだろうか。

文●小川由紀子
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