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NBA

“縁の下の力持ち”カペラが語る10年戦士としての自負「NBA選手の平均キャリアは4年。成功する人はとても少ない」<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2023.12.07

 実はNBAでのキャリアをスタートする前、カペラはすでにフランスリーグでプロデビューしている。

 アフリカ系の両親のもとにスイスで生まれたカペラは、子どもの頃はサッカーをプレーしていたが、身長がどんどん伸びたため、バスケットボールに転向。スイス代表のユース大会でプレーしていたところ、トニー・パーカーらを輩出したフランスの国立エリート養成所INSEPに見初められた。

 卒業後もフランスに残って、国内の人気クラブであるエラン・シャロンで2年間プロキャリアを経験したのち、先述の通り2014年のドラフトから世界最高峰リーグへの挑戦権を得た。

 しかし入団当初は、本人もここまでのキャリアを築けるとは思っていなかったという。

「自分が早いうちから適応できるとは思っていなかった。だから毎朝目が覚めると、自分がこれまで成し遂げてきたことを噛み締めているよ。NBA選手の平均キャリアは4年だと言われている。成功する人はとても少ないし、しかも毎年新しい選手が入ってくるから、常に新たな挑戦が待っている。誰かに言われたことがあるんだ。『NBAでプレーするよりも、ハーバード大学に入る方が50倍も可能性がある』って。そうしたことに気づくと、ますますそのありがたみがわかるよ」

 ロケッツでのデビューイヤーこそGリーグが主戦場だったが、その年のプレーオフで出場機会を得たのを契機に徐々にスターティングセンターに定着。20年2月のトレードでアトランタに戦いの場を移しても、それは継続された。
 
 10年のキャリアを振り返って彼が自負しているのは、冒頭に挙げた通り6シーズンにわたって平均ダブルダブルを続けてきたことだ。

「僕の一貫性を証明していると思う。当たり前だと思う人もいるかもしれないけれど、毎晩チームは僕の仕事に期待している。強いかどうかは問題じゃない。NBAでは誰もが強いからね。そのなかで長期間にわたって強さを意地できるか、適応し続けられるかが大切なんだ」

 ホークスは今年10月、2020年のドラフト6位で獲得した22歳のオニエカ・オコングと4年6200万ドルで延長契約を結んだ。将来的には彼がチームのスターティングセンターを担うことになり、今季はすでにオコングとカペラがプレータイムをシェアする状況にある。

 それもあって、来季終了後の2025年にFAになるカペラについてはトレードの噂もたびたび出ているが、「自分でコントロールできることじゃないから、なるようになるだけ」と29歳の10年選手は達観している。

 エースのトレイ・ヤングを筆頭に攻撃マインドが旺盛なホークスは、ディフェンスがもろい傾向にある。昨季から指揮を執るクイン・スナイダーHCは、シーズンオフにはよりディフェンスに重点を置いて準備を進めたそうだが、それでもやはり、オフェンス重視のスタイルは変わっていない。そんななかで、黙々と汚れ仕事に徹する守備職人のカペラは、チームにとって得難い存在だ。

 たとえ今後、どこかの球団にトレードされることがあっても、カペラが自身の仕事を全うすることは間違いない。

「自分の道を貫くこと、そして決して退屈せずに楽しむこと」が、彼が後輩たちに伝えたいメッセージだそうだ。NBAを生き抜く縁の下の力持ち、カペラは今日もゴール下で奮闘する。

文●小川由紀子
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