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NBA

「自分だけが頼りだった」幾多の試練を乗り越え、ネッツの“ヒーロー”となったスペンサー・ディンウィディー

ダンクシュート編集部

2020.01.13

コロラド大では3年間で平均13.0点をあげたが、3年時に前十字靭帯を断裂。14年のドラフトでは2巡目指名に甘んじた。(C)Getty Images

コロラド大では3年間で平均13.0点をあげたが、3年時に前十字靭帯を断裂。14年のドラフトでは2巡目指名に甘んじた。(C)Getty Images

 彼のプレースタイルにはひとつの特徴がある。攻撃は得意のドライブが軸だが、平均22.5点を支えるのはジャンパーやレイアップだ。そのなかで、昨年12月15日のフィラデルフィア・セブンティシクサーズ戦では自身より10cm背が高いトバイアス・ハリスの上から豪快にダンクを叩き込み、周囲を驚かせた。もっとも、普段から一緒に練習しているチームメイトからすれば、ディンウィディーはダンクを“しないだけ”だという。

 昨夏にネッツに加入した33歳のベテラン、ギャレット・テンプルは「このチームの誰もが、彼がどれだけすごい跳躍力を持っていて、どれだけ速いかを知っている。彼はそれをまったく使わないから知らないんだ」と証言。在籍4年目のシューター、ジョー・ハリスも「スペンサーは、自分の身体能力を使わない最もアスレティック能力の高いNBAプレーヤーだろう」と見解を述べる。

 ディンウィディー自身、余分なエネルギーを使うのならチームのためのハードワークに充てたいという意図を明かしており、コロラド大時代に彼を指導したタッド・ボイル・ヘッドコーチは「スペンサーにとっては勝つことがすべてだ。数字やハイライトは気にしない。彼は自分、チーム、リーグにまつわる数字を把握している。でも、そのためにプレーはしない」と卓越した“チームプレーヤー精神”に太鼓判を押す。
 
 2008年にボストン・セルティックスで優勝を経験し、現在は『ESPN』のアナリストを務めるケンドリック・パーキンスは、自身のツイッターで「スペンサー・ディンウィディーは何か大きく道を踏み外さない限り、今年彼をオールスターとして書き込んでも大丈夫だと思う」と投稿。実際にオールスター選出となれば、これまでの苦労にも報われることになる。ディンウィディーは映画「アイアンマン」(主人公が自ら開発したパワードスーツに身を包み、悪と戦うストーリー)に自身のキャリアを重ねる。

「アイアンマンはもともと超人として生まれたわけではなくて、一種の自分探しの道を経て、より慈悲深い人間になった。僕の旅(NBAでのキャリア)も明らかに順風満帆ではなかったし、今いる場所に辿り着くには自分だけが頼りだった。僕はアイアンマンなんだ」

 もっとも、ネッツの“ヒーロー”となっても、様々な経験をしてきたディンウィディーに一切の慢心はない。

「このレベルでプレーできる選手はたくさんいる。海外のトップ100に入る選手はNBAでプレーできるだろう。だけど、この機会を得ることができなければ成功はできない。だから仕事に集中して自信を保つこと。自分自身を示さないといけない」

 ディンウィディーのサクセスストーリーはまだ始まったばかり。どこまで高みに上り詰められるか、今後の成長曲線からも目が離せない。

構成●ダンクシュート編集部
 
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