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NBA

「センターはペイントエリアにいるべき」アデトクンボが恩人と慕う“ベイビー・シャック”が、現代バスケにおけるビッグマンの在り方を力説<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2025.01.17

 そんなスコーツァニティスにとって、現役時代、マッチアップするのが最もタフだった相手はスペインの主砲パウ・ガソル(元ロサンゼルス・レイカーズほか)だという。さらにもう1人名前を挙げたのは、元ブラジル代表のティアゴ・スプリッター(元サンアントニオ・スパーズほか)。今シーズン、ヘッドコーチとしてパリ・バスケットボールを率いているルーキー指揮官だ。

「彼は守るのがものすごく難しい選手だった。ペイント内にいたかと思うと、次の瞬間には消えているんだ。彼と対峙する時は、常に100%の集中力を維持し続ける必要があった。でなければ、たちまちピンチに追い込まれた」

 2020年に35歳で現役を引退したスコーツァニティスは、その後も母国ギリシャでアマチュアクラブのコートに立つなど、バスケットボールと関わる生活を続けている。その彼を、アデトクンボが“恩人”と呼んでいることは知られていて、ヤニスは以前インタビューで次のように感謝を表していた。

「ソフォは自分に多くのものを与えてくれたし、たくさんのことを教えてくれた。僕が15歳の時の夏、一緒にトレーニングしてくれたんだ。当時の僕はまったく無名の存在で、彼はスーパースターだった。その彼が、ストリートでバスケをしている僕を見たらしく、兄がコンタクトしてくれた。彼は僕たちに、プロとしてプレーするには何が必要かを教えてくれた。僕と家族にとって、彼は恩人なんだ。なのに彼は何の見返りも求めなかった。僕たちがバスケットボールをプレーしたいと思っていたから助けたかっただけだよ、とね」
 
 当の“ソフォ”は、「彼が私の足跡をたどったなどとは思っていない。彼は彼自身の道を歩んだんだ」と謙遜すると同時に、ヤニスを称賛している。

「彼はファンタスティックな選手で、コート上でも外でも、彼らしさを持っている。彼の行動は、すべての子どもたちにとってパーフェクトなロールモデルだ。彼がその道を歩み続けていってくれることを願っている」

 NBAのMVPに輝いたあとも、オフにはローカルクラブの試合に顔を出したり、そうした場で気さくに人々と交流したりと、ヤニスのスターぶらない振る舞いには感心させられるが、根底には少年時代に自分に優しくしてくれたスコーツァニティスの影響も、ひょっとしたらあるのかもしれない。

文●小川由紀子
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