「みんなに『やめてくれ』と言ったら、ウィグス（アーロン・ウィギンズ）に、『いつも自分が率先してやってるじゃないか。今日は俺たちに君を祝わせてくれよ』って言われたよ。いかにこのチームが固い絆で結ばれているかを感じた。

　チームのロスターにいる全員が、僕にとっては友達。ジャージを着ていない時でも、バスケットボール以外でも、彼らのことは自分の仲間、友達だと思っているんだ」

　ヒューストロン・ロケッツなど５球団を経験したのち、今季サンダーに加入したアイザイア・ハーテンスタインも、「僕らはお互いの成功を願っているんだ。そこにはエゴのような感情はない。それがこのチームを強くしている」とコメントしている。

　そして、その彼らを束ねるマーク・ダグノーHC（ヘッドコーチ）こそが、このチームケミストリーをもっとも享受している１人でもある。
  「毎日彼らと過ごすのは、本当に信じられないような体験だ。彼らはお互いからエネルギーを受け取っている。僕が最高のコーチングができるのは、そうした選手たちが集まっているおかげなんだ」

　ダグノーは、このチームを指導することが”イージー”だと感じている理由をこう描写している。

「ここには、私が最大限の力を発揮することを妨げるものが何もない。ロッカールームにいる全員が、感謝の気持ちと謙虚さ、敬意、優しさ、プロ意識を持っている。 それが全員が最大限の能力を発揮できる環境を作っているんだ。そしてそれは、決して当たり前のことなんかではない」

　今季、このメンバーで戦えるのは長くてあと７試合。

「ファイナルに行けるのは嬉しいけれど、このチームを率いることが終わってほしくないとも感じてしまう……」

　センチメンタルな気持ちも覗かせたダグノー。いつでも一緒にいたい、ずっと一緒に戦いたいと全員が感じているこの絆が、サンダーを頂点に導くか。

文●小川由紀子

【画像】NBA最強の選手は誰だ？識者８人が選んだ21世紀の「ベストプレーヤートップ10」を厳選ショットで紹介！