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NBA

【コビー・ブライアント物語・Part1後編】晴れてレイカーズの一員に。順調に成長を遂げ、シャックとのデュオは日ごとに威力を増すも……

大井成義

2020.03.15

シャック(右)とのワンツーパンチは日ごとに威力を増したものの、それに伴い2人の間には溝ができ始めていた。(C)Getty Images

シャック(右)とのワンツーパンチは日ごとに威力を増したものの、それに伴い2人の間には溝ができ始めていた。(C)Getty Images

 ところが――。プレーオフのカンファレンス準決勝において、それまでのバスケ人生で最大の試練を迎えてしまう。強豪ユタ・ジャズを相手に1勝3敗と後がない状態で、試合最終盤にエアボールを連発する。NBAの歴史上、5分間に4本のエアボールを放った選手がかつていただろうか。それを高校出の新人が、1年の総決算であるプレーオフの、負ければシーズン終了という重要な試合の最も緊迫した場面で、思いっ切りやらかしてしまったのである。

 試合終了後、チームはロサンゼルスへ戻り、コビーが自宅に着いたのは午前3時。疲れた身体を引きずって、すぐさま近所にある高校の体育館に行き、1日中シュートを打っていたという。

 翌1997-98シーズンは、控えとして79試合に出場。シックスマン賞で2位の得票数を得るほどの成長ぶりだった。

 前年度のスラムダンク・コンテスト優勝以降、うなぎのぼりで人気が高まっていったコビーは、自チームでは控え選手ながら、オールスターのファン投票でスターターに選出されるという珍事を招く。史上最年少のスターターというおまけつきだった。
 
 レギュラーシーズンを61勝21敗で終え、8年ぶりに60勝の大台に乗せたレイカーズだったが、プレーオフではカンファレンス決勝で再びジャズにスウィープ負けを喫する。コビーも平均8.7点と振るわず、2年連続で不完全燃焼のままシーズンを終えた。

 ロックアウトのため短縮された1998-99シーズンは、50試合すべてで先発を務め、チームで唯一全試合に先発出場を果たした。平均出場時間をチーム最多の37.9分まで大幅に伸ばし、平均19.9点はシャックの26.3点に次いでチーム2番目。シャックとのワンツーパンチは日増しに威力を増しつつあったものの、コビー人気の高まりとともに双方のエゴがぶつかることも多くなり、2人の間には目に見えない溝ができ始めていた。

 プレーオフでは、カンファレンス準決勝でサンアントニオ・スパーズ相手にまたもやスウィープで敗退。現状を打破するため、チームに大きな改革が必要なのは、誰の目にも明らかだった。このままの状態が続けば泥沼にはまるどころか、最悪の場合は空中分解の可能性すらあった。

文●大井成義

※『ダンクシュート』2020年4月号より転載。

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