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NBA

なぜショーン・ケンプはケンタッキー大でプレーしなかったのか?当時の関係者が語る“事件”の真相

ダンクシュート編集部

2020.05.09

ケンタッキー大で心身を鍛えてNBAに進んでいたら、ケンプの人生は大きく変わっていたかもしれない。(C)Getty Images

ケンタッキー大で心身を鍛えてNBAに進んでいたら、ケンプの人生は大きく変わっていたかもしれない。(C)Getty Images

 当時アシスタントコーチで、現在は『ESPN』でアナリストを務めるジミー・ダイクスは、89年のドラフト前にソニックスからケンプの指名に関して助言を求められ、「ショーン・ケンプをドラフトしろ」とアドバイスした人物だ。その後、91~93年にはケンプが在籍したソニックスでスカウトを担当した縁もあるが、ケンプがケンタッキー大を事実上の退学となる決定は、エディ・サットンHCの力ではどうにもならなかったという。

「私たちに選択肢はなかった。みんな将来のNBAオールスター、ダブルダブル・マシン(であるケンプ)が出て行ったのを知っていた。彼に難があったわけじゃない。ただの一度も彼とトラブルを抱えたことはないし、私たちは本当にこの男を手放すつもりなのかと思ったよ」

 当時2年生レギュラーで、後にNBAでもプレーしたレックス・チャップマンはアシスタントコーチだったドゥエイン・ケーシー(現デトロイト・ピストンズHC)とケンプのプレー映像を見た時、衝撃を受けたことを鮮明に覚えていると語る。

「『マジかよ』『なんてこった』という感じだった。ケンプは今で言えば、ザイオン・ウィリアムソンのように見えた。やせ細っていたけどね」

 当時のケンタッキー大は、「攻撃力抜群で、アシストが多く、ターンオーバーが少なくて全員が3ポイントも打てる」(ジョン・ペルフリー/現テネシー工科大HC)チームだった。一方で課題だったのがディフェンシブ・リバウンドとブロックで、ケンプがチームを一変させ、より強力な陣容になったはずだと、チャップマンは思いにふけることがあるという。
 
「彼は一緒にケンタッキー大でプレーできることを喜んでいたし、私も興奮していた。彼みたいな選手は今まで見たことがない。208cmの巨体でコースト・トゥ・コースト(自陣から敵陣まで駆け抜ける)して、身長185cmのガードのようにジャンプする。細いけど、サイズがあって手足も長く、身体能力が高くてアグレッシブ。大胆不敵でコート内外でワイルドだった(笑)。当時のケンタッキーは学校の歴史上、最高のチームだった。そうじゃないかもしれないけど、そのことを考えるのは楽しいし、私たちがそうじゃないと誰も証明できない」

 盗難された被害者として報じられ、ケンプと別の形で長年“十字架”を背負ってきたショーン・サットンは最後にケンプへ思いを口にしている。

「彼が私のものを盗んでいなかったことは分かっている。ケンタッキー大でどのように物事が終結したか、その後彼が対処しなければならなかったことを考えると悔やまれる。私は彼が時間をかけて立て直し、壁を乗り越えてNBAで偉大な成功を収めたことにすごく満足している。でも、可能なら彼に『申し訳ない』と言いたかった」

 ケンプがもしケンタッキー大でスターとなっていたら――。NBAでのキャリアもまた悲しい結末とは別のストーリーが描かれていたかもしれない。

構成●ダンクシュート編集部

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