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NBA

ナイキがバッシュ市場で最大のシェアを誇る理由。転機となった1980年代からの隆盛の歴史を紐解く

北舘洋一郎

2020.07.06

 1970~80年代前半までは、アメリカでは人気のあるカレッジチームのカラーリングをその地域限定で生産し、ある意味で人気のある大学の勢いに乗ってシューズを売っていた時代が続いていた。購買者の発想は「ブランド名やシューズの機能よりも、大好きな人気チームのモデルだから」という理由が大部分を占めていた。そもそも、そのブランドもシューズのテクノロジーに独自性を持つ開発ができていたわけではなかったので、そういう流れにならざるを得なかったのだろうという見方もある。

 また、同時にナイキが注力したのがアウトドアでのバスケットボールだった。1992年にアウトドア専用のシューズ、『エア・レイド』をリリースするのだが、そのデザインの良さは当時シャーロット・ホーネッツでプレーしていたケンドール・ギルがNBAの公式戦でも使用したほど。その後、『エア・レイド2』、『エア・チェック』、『エア・ダーウィン』、『エア・バハ』、『エア・シェイクインディストラクト』、そしてデニス・ロッドマン(元ブルズほか)が履いて一気に人気シューズとなった『エア・ワームインディストラクト』と進化していく。

 このデザインアプローチで興味深かったのは、ナイキがアウトドアラインとしてすでに人気を博していたACG(オールコンディショニングギア)とリンクしたデザインワークを行っていたこと。フォースやフライト、アップテンポとはまったく違った見た目になっていたというのは非常に大きかった。
 
「どんなシューズを履いても、俺の最高のパフォーマンスは変わらない。だったら、見た目がクールなシューズを履くのが俺のやり方」。ロッドマンはそう言って『インディストラクトシリーズ』を履きプレーしていた。

 このように、ナイキがバスケットボールシューズのブランドとして市場に与えた影響力は、1980年代から40年という歳月をかけて今に至った。また、シューズ開発を担当するデザイナーの思いや、それをアイコンとして履いた選手たち、そういうストーリーが詰まったシューズが多いからこそ、復刻されても興味をそそられる部分があるのだと感じる。

 もうすぐ、『エア・ジョーダン1』とディオールのコラボモデルが発売されるが、限定販売が予想されるため、手に入れることができるのはほんの一握りだろう。しかし、ナイキはほかにもたくさんのキャラ立ちしたシューズを復刻している。希少価値があり、高値でディールされるハイプ系を追いかけるのも楽しいだろうが、それぞれに物語を持ったほかのシューズを追いかけるのも同じぐらい楽しみがある。それがナイキのブランドカルチャーの根底にはあるのだ。

文●北舘洋一郎

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