準決勝でアメリカの“本家ドリームチーム”に敗れるも、3位決定戦の相手はロシアを軸とするCIS(独立国家共同体)とあって、国中がテレビ中継に釘づけとなる。
「街には人っ子ひとりいなかった。きっと銀行強盗があっても気づかれなかっただろうね」とイルガスカスが述懐するほど、リトアニアの全国民が熱い視線を送ったこの世紀の一戦は、当時ゴールデンステイト・ウォリアーズに在籍していたサルナス・マーシャローニスが29得点、サボニスも27得点をあげ、リトアニアが82-78で勝利を収める。
この試合で彼らが手にしたのは銅メダルだけではなかった。“軍事力や経済力ではロシアに敵わない。でもバスケットボールのコート上なら、彼らに太刀打ちできるんだ”という自尊心。これこそ、独立間もない国家にとって大きな価値のあるものだった。(後編に続く)
文●出野哲也
※『ダンクシュート』2014年1月号掲載原稿に加筆・修正。
【PHOTO】NBA最強の選手は誰だ?識者8人が選んだ21世紀の「ベストプレーヤートップ10」を厳選ショットで紹介!
「街には人っ子ひとりいなかった。きっと銀行強盗があっても気づかれなかっただろうね」とイルガスカスが述懐するほど、リトアニアの全国民が熱い視線を送ったこの世紀の一戦は、当時ゴールデンステイト・ウォリアーズに在籍していたサルナス・マーシャローニスが29得点、サボニスも27得点をあげ、リトアニアが82-78で勝利を収める。
この試合で彼らが手にしたのは銅メダルだけではなかった。“軍事力や経済力ではロシアに敵わない。でもバスケットボールのコート上なら、彼らに太刀打ちできるんだ”という自尊心。これこそ、独立間もない国家にとって大きな価値のあるものだった。(後編に続く)
文●出野哲也
※『ダンクシュート』2014年1月号掲載原稿に加筆・修正。
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