ＮＢＡで２度のシーズンＭＶＰに輝いたヤニス・アデトクンボ（ミルウォーキー・バックス）は以前、尊敬するギリシャ代表の先輩スパノーリスについて「ヨーロッパでのスパノーリスは、ＮＢＡにとってのコビーのような存在だ。長年にわたってトップに君臨し続けている」と語っている。

　通算得点（4434）とアシスト（1587）で現在ユーロリーグの歴代トップに君臨しているスパノーリスは、現在38歳。コビーが引退したのと同じ年頃だ。実際、引き際を意識し、それは遠い先の話ではないと、つい先日のインタビューでも話している。

　スパノーリスは、コビーの凄さについてこう表現した。
  「彼を傑出した存在たらしめたのは“絶対に負けたくない”という意志の強さだ。それはある種、独特なレベルだった。実際にどのようなものかは、自身もプロとしてプレーしてみなければ、理解するのは難しいだろう。

　シューティングやドリブルといった技術を磨くことはできる。でも、性格は持って生まれたものだ。コビーのキャラクターは独特だった。彼を目標にして、彼からいろいろ学ぶことはできるだろう。でも、彼の闘魂や、勝利にかける凄まじい意欲、意志の強さ。そこに到達することはできない」

　ＮＢＡでの評価は低いとはいえ、ギリシャのバスケ史に名を刻むトッププレーヤーの言葉だけに説得力がある。そして同時に、コビーという男が、バスケを愛して真摯に向き合う仲間を尊重し、敬愛する人物であったことが伺える、貴重なエピソードだった。

文●小川由紀子

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