専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
NBA

守備型の“ジョーダン時代”は過去の話。2000年以降のNBAがハイスコアゲーム化した3つのポイント

出野哲也

2019.10.25

昨季、MVPを獲得したギリシャ出身のヤニス・アデトクンボ。活躍する外国人選手が増えたのも変化のひとつである。(C)Getty Images

昨季、MVPを獲得したギリシャ出身のヤニス・アデトクンボ。活躍する外国人選手が増えたのも変化のひとつである。(C)Getty Images

 その結果、ポジションはますます名目だけのものと化していった。ポイントガード(PG)はシューティングガード(SG)のようにシュートを打ち、そのSGはスモールフォワード(SF)との役割が曖昧になりペリメータープレーヤーとして一括りにされた。ビッグマンが外からシュートを打つようになったことから、センターやPFはインサイドに陣取ってはいられず、必然的にサイズより機動力が求められ、ドレイモンド・グリーンのようにSF並の身長で5番(センター)に入ることも珍しくなくなった。と言うより、その5番というカテゴライズ自体がもはや無意味になっている。

 ディフェンス面でも頻繁にスイッチングを繰り返すようになったため、特定のポジションしか守れない選手では対応できなくなった。もともとバスケットボールは、野球のベースのように守るべき場所があるわけではなく、状況に応じて誰がどこにいてもいいのだから、そうした流れは不自然ではない。オールスターの投票もこうした現実を反映して、ガード/フォワード/センターのポジションで区分されるのではなく、今ではフロントコートとバックコートで分けられるようになった。

 ヨーロピアンから始まった国際化の流れはとどまることを知らず、今ではNBAに世界中のタレントが集っている。1992年のバルセロナ五輪でのドリームチームがきっかけとなって、世界各地でバスケットボールのレベルは飛躍的に向上した。
 
 中南米からもマヌ・ジノビリ(アルゼンチン)のようなスターが生まれ、02年にはアメリカの大学を出ていない外国出身者として初めて、中国のヤオ・ミンがドラフト1位でロケッツに指名された。その後15年間で7人の1位指名が外国生まれ、昨季のオールNBAチームもMVPのヤニス・アデトクンボ(ギリシャ)をはじめ、ニコラ・ヨキッチ(セルビア)、ジョエル・エンビード(カメルーン)ら15人中4人が外国勢だった。
 
 80年代には数えるほどしかいなかった外国人は、1819シーズン開幕前には全体の24%まで増え、日本から渡邊雄太、そして今季からは八村塁も参戦。こうしてNBAへの関心が世界中で高まり、さらに新しい才能が送り出される好循環が生まれている。

 古い時代を知るOBやファンからは、身体的接触が減ったNBAはソフトになりすぎたとの批判もある。スター選手が頻繁にチームを移ってしまう傾向を、苦々しく思う向きもある。だが公平に判断して、NBAが20年前に比べてはるかにダイナミックでエキサイティングになったのは間違いない。

文●出野哲也(フリーライター)

※『ダンクシュート』2019年11月号より転載

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号