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NBA

カネと奇言でNBAを騒がせたロシア人オーナー、プロホロフがネッツに残した最後の遺産

杉浦大介

2019.11.07

9年間のオーナー生活に終止符を打ったプロホロフ。チーム強化に成功したとは言えないが、購入時の約8倍で売却するなどビジネス面では大成功を収めた。(C)Getty Images

9年間のオーナー生活に終止符を打ったプロホロフ。チーム強化に成功したとは言えないが、購入時の約8倍で売却するなどビジネス面では大成功を収めた。(C)Getty Images

 ブルックリンにおけるミハイル・プロホロフ時代の終焉――。〝時代〞と呼ぶにはあまりにも短すぎるかもしれないが、このロシア人オーナーがそれなりの足跡を残したのは事実である。

 ネッツは今年8月16日、プロホロフがチームの支配権や本拠地バークレイズ・センターを中国ネット大手アリババグループのジョセフ・ツァイ副会長に売却することを発表した。金額は推定23億5000万ドル(約2547億5600万円円)。これはスポーツチームの買収額としては史上最高となる。

 プロホロフは2010年に約4億ドルでネッツを買収した。アリーナと合わせて約35億ドルの値がついたところで売却したのだから、ビジネス的には超がつく大成功だったことは間違いない。また、アメリカが不景気に見舞われている時期にオーナーとなり、暗礁に乗り上げていたバークレイズ・センターの建設プランを救ったことでもプロホロフは評価されていいだろう。
 
 就任当初のプロホロフは頻繁にメディアに露出し、ニューヨークを騒がせた。ニックスのオーナーであるジェームズ・ドーランを「小男」、エースのカーメロ・アンソニーを「カルメラ」と呼ぶなど、クロスタウンライバルを煽るような発言を頻発。12年にはロシアの大統領選にも立候補するなど、莫大な財産に裏打ちされた奇想天外な行動もあって、〝世界で最も興味深い男(The Most Interesting Man in TheWorld)〞と騒がれたこともあった。

 ただ、話題性があったのは事実だが、このロシアの大富豪を〝優良オーナー〞と呼んで良いのかどうかは微妙なところではある。プロホロフがオーナー期間中のネッツは288勝434敗。就任直後に「5年以内に優勝する」と宣言し、「叶わなかったら罰として結婚する」などとうそぶいたが、結局、ファイナル制覇は叶わなかった(結婚もしていない)。

「就任当初の彼がNBAのチーム作りを理解していたかは疑わしい。何か問題があればお金で解決できると思っていた」

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