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NBA

アテネ五輪で味わったスター寄せ集めの限界。過去最低となる3度の敗戦を喫した”ナイトメア・チーム”

出野哲也

2019.12.08

ただ単にスターを寄せ集めただけでは勝てないということが、このアテネ五輪で証明されてしまった。(C)Getty Images

ただ単にスターを寄せ集めただけでは勝てないということが、このアテネ五輪で証明されてしまった。(C)Getty Images

 アルゼンチンは決勝でもスコラが25得点、11リバウンドと活躍し、イタリアを84-69で撃破。世界規模の大会としては、母国で開催された50年の世界選手権以来の優勝で、オリンピックでのメダル獲得は初めてだった。

 また、同日の午前中にはサッカーでも頂点に。五輪での金メダル自体が52年のヘルシンキ大会以来、52年ぶりの快挙とあって、アルゼンチン国民にとっては二重の喜びとなった。

 イタリアは西側諸国の多くがボイコットした、80年のモスクワ大会以来となる銀メダル。開催国ギリシャは過去最高に並ぶ5位に食い込んだ。
 
 一方、バスケ大国アメリカの面目は丸つぶれとなった。何とか3位決定戦でリトアニアに勝利し、銅メダルを確保したものの、過去3大会での強さが嘘のような結果に非難轟々。国際ルールへの対応不足や、正統派シューターが不在だったメンバー選定の失敗などが槍玉に挙げられた。

 けれども、彼らは決して手を抜いて戦ったわけではない。デレック・フィッシャー(当時レイカーズ)が「国を代表して参加したプレーヤーの、献身的な行為には頭が下がる思いだ」と語ったように、本当に非難されるべきは不参加を選んだ選手の方であろう。

「92年のアメリカ代表は最高の選手が揃っていた。今年のチームも優秀だけど、若くて国際試合の経験が浅い。ルールが違えば(バスケは)まったく別のゲームになるんだ。しかも他国のレベルはどんどん上がっているのに、アメリカはベストメンバーを連れてこなかった」

 これはアメリカ戦のあと、ジノビリが語った“ドリームチームⅣ”の敗因についての完璧な分析である。アテネ五輪での苦い経験が、「オールスターチームを送り込むだけでは、もはや勝てなくなった」(ダグ・コリンズ/元ブルズHCほか)ことを、アメリカのバスケットボール関係者全員に気づかせたのだ。

文●出野哲也(フリーライター)

※『ダンクシュート』2019年10月号より転載。
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