モンテネグロの瞬足ガード、ケンドリック・ペリーも充実感に満ちた1人だ。彼は昨年のユーロバスケット(欧州選手権)でも、チーム最高の評価指数を叩き出す活躍でモンテネグロの16強進出に貢献した。この大会での最後の試合のあと、モンテネグロの国、人々、協会やチームの仲間たちに感謝を述べた彼のスピーチは感動的だった。
今大会でも、モンテネグロのスターティングガードとしてチームを牽引したペリーは、大会を振り返ってこう話している。
「自分はモンテネグロをできる限りいいチームにしたいという気持ちでこの舞台に立っている。バスケットボールをプレーする時、僕は、まずは自分自身、それから家族、オーランド(出身地)、ヤングスタウン(出身校)、そしてもちろん、モンテネグロ……どのジャージーでコートに立とうとも、常にそれらのものを背負ってプレーしている。人々に誇りに思ってもらえるようなプレーをしようと懸命に戦っているんだ」
昨年モンテネグロ国籍を取得したペリーだが、当初はアメリカ人の帰化選手というプレッシャーに苛まれていたという。
「かつてはそうしたプレッシャーを自分で自分に課してしまって、本来楽しむべきバスケットボールを楽しめていない時期があった。でも、精神的なハードルを乗り越えてからは、そうしたプレッシャーは一切感じなくなった。勝った試合でも負けた試合でも、それぞれ学びがあることに気づいたんだ」
帰化選手は以前から存在していたが、例えばコンゴ出身でスペイン代表として活躍したサージ・イバカのように、その国で育っていたり、あるいはホーキンソンやウォーカップのようにその国のリーグでプレーしていた経緯がある選手もいれば、ホリス・ジェファーソンやペリーのように、それらの国とはそれまで直接的なゆかりがまったくなかった選手もいる。
2011年のユーロバスケットで小国マケドニアを驚きのベスト4に導いたボー・マッカレブなどは、そのトレンドの走りだ。スロベニア代表として2017年のユーロバスケット優勝に貢献した アンソニー・ランドルフ(元ゴールデンステイト・ウォリアーズほか)もその1人。スペイン代表は、昨年のユーロバスケットで元トロント・ラプターズのロレンゾ・ブラウンを迎え入れ、ブラウンはオールトーナメント5に選ばれる活躍で優勝の立役者となった。
彼らは生粋の「助っ人プレーヤー」なわけだが、そうした動きをよく思わない人たちもいて、FIBAにルールの制限を求める声も上がっている。とりわけ、選手層に事欠かないスペインが、アメリカ人の帰化選手を採用したことには、反発の声も大きかった。
彼らの活躍で好成績を収めたケースばかりではないが、こうした国際大会で各国の躍進を助けるのは、大きく意味のあることでもある。なにより、謙虚に、その国のために頑張る帰化選手たちの姿勢には、感動を覚える。ホーキンソンという好例を目の当たりにした日本のバスケファンは、その事実を実感していることだろう。
文●小川由紀子
今大会でも、モンテネグロのスターティングガードとしてチームを牽引したペリーは、大会を振り返ってこう話している。
「自分はモンテネグロをできる限りいいチームにしたいという気持ちでこの舞台に立っている。バスケットボールをプレーする時、僕は、まずは自分自身、それから家族、オーランド(出身地)、ヤングスタウン(出身校)、そしてもちろん、モンテネグロ……どのジャージーでコートに立とうとも、常にそれらのものを背負ってプレーしている。人々に誇りに思ってもらえるようなプレーをしようと懸命に戦っているんだ」
昨年モンテネグロ国籍を取得したペリーだが、当初はアメリカ人の帰化選手というプレッシャーに苛まれていたという。
「かつてはそうしたプレッシャーを自分で自分に課してしまって、本来楽しむべきバスケットボールを楽しめていない時期があった。でも、精神的なハードルを乗り越えてからは、そうしたプレッシャーは一切感じなくなった。勝った試合でも負けた試合でも、それぞれ学びがあることに気づいたんだ」
帰化選手は以前から存在していたが、例えばコンゴ出身でスペイン代表として活躍したサージ・イバカのように、その国で育っていたり、あるいはホーキンソンやウォーカップのようにその国のリーグでプレーしていた経緯がある選手もいれば、ホリス・ジェファーソンやペリーのように、それらの国とはそれまで直接的なゆかりがまったくなかった選手もいる。
2011年のユーロバスケットで小国マケドニアを驚きのベスト4に導いたボー・マッカレブなどは、そのトレンドの走りだ。スロベニア代表として2017年のユーロバスケット優勝に貢献した アンソニー・ランドルフ(元ゴールデンステイト・ウォリアーズほか)もその1人。スペイン代表は、昨年のユーロバスケットで元トロント・ラプターズのロレンゾ・ブラウンを迎え入れ、ブラウンはオールトーナメント5に選ばれる活躍で優勝の立役者となった。
彼らは生粋の「助っ人プレーヤー」なわけだが、そうした動きをよく思わない人たちもいて、FIBAにルールの制限を求める声も上がっている。とりわけ、選手層に事欠かないスペインが、アメリカ人の帰化選手を採用したことには、反発の声も大きかった。
彼らの活躍で好成績を収めたケースばかりではないが、こうした国際大会で各国の躍進を助けるのは、大きく意味のあることでもある。なにより、謙虚に、その国のために頑張る帰化選手たちの姿勢には、感動を覚える。ホーキンソンという好例を目の当たりにした日本のバスケファンは、その事実を実感していることだろう。
文●小川由紀子
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