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NBA

アメリカが制した“エンビード争奪戦”の顛末。フランス協会は自国の代表入りに力を尽くすも、「結果的に着手すべきではなかった」<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2023.10.12

 一方、フランスメディアの反応はというと、「可能性はちらつかせてはいても、一切『確約』はしていなかった選手に対して、協会はなぜあそこまで懸命に政府へ帰化をかけあったのか」(レキップ紙)といった、なかば呆れた論調も少なくない。まさにシウタ会長の言葉でもそれについて悔恨が語られていたが、いくらスーパーな戦力とはいえ、フランスになんのゆかりもない選手の代表入りには、もともと世論は積極的ではなかった。

 フランス代表の中核をなすガードのエバン・フォーニエ(ニューヨーク・ニックス)は、エンビードの発表後、間髪入れずにフランス国旗を背負った写真に『Fierté. #ENSEMBLE』(誇り高く。#共に)というメッセージをつけてSNSに投稿。ファンも「そもそもフランスに縁もゆかりもない選手が代表に加わることに違和感があった」という声が多く、それを推進しようとしていた協会を嘲笑する意見も目立つ。
 
 会長もディーオウも、「この件はもう過去のこと。フランスチームは彼がいなくても以前と同じようにやっていく」と、すでにページがめくられたことを強調し、W杯後は解任を望む声も上がっていたヴィンセント・コレHCも続投し、パリ五輪で金メダルを目指すことを発表した。

 彼らの今の願いは、19歳の至宝“ウェンビー”ことヴィクター・ウェンバンヤマ(サンアントニオ・スパーズ)が、ケガをすることなく来夏、パリのアリーナに立っていること。決勝でエンビード擁するアメリカを破るという、出来すぎたストーリーは見られるだろうか。

文●小川由紀子
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