専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
NBA

コビー&シャック――最強のデュオであり最大のライバル、奇妙な関係にあった2人の紆余曲折の物語

大井成義

2020.01.30

コビーの引退試合での2人のやり取りに、紆余曲折の物語のすべてが詰まっていた。(C)Getty Images

コビーの引退試合での2人のやり取りに、紆余曲折の物語のすべてが詰まっていた。(C)Getty Images

■決別後は、どちらがより多く優勝できるかを競い合う

 だが、4個目のチャンピオンリングを最初に獲得したのはシャックだった。マイアミ・ヒートに移籍した次のシーズン、新鋭ドゥエイン・ウェイドとの新たなコンビで早々と優勝を遂げてみせた。コビーの悔しさたるや、相当なものだったろう。“シャック超え”は、コビーの悲願となった。

 それから3年後の09年、コビーは夢にまで見たタイトルをついに獲得。さらには翌年も優勝を果たし、見事2連覇を達成する。ファイナル第7戦後の共同記者会見では、こんなやりとりがあった。

記者:君個人にとって、2連覇が持つ意味は?
コビー:シャックより1個多く(リングを)手に入れたよ。
会場:(爆笑)。

 シャックがレイカーズを離れた04年から引退する11年までに所属した4チーム(ヒート、フェニックス・サンズ、クリーブランド・キャバリアーズ、ボストン・セルティックス)とレイカーズは、合計11回顔を合わせ、対戦戦績は7勝4敗でシャックに軍配が上がっている。一方、直接対決時の平均得点は、シャックの16.7点に対しコビーは35.0点だった。
 
 16年4月13日、コビーは現役ラストゲームを迎える。この試合でリーグのシーズン最多となる60得点を叩き出し、奇跡の大逆転劇を演じてみせた。コビーの驚異的なパフォーマンスに、会場の盛り上がりは頂点に達する。

 試合時間残り4.1秒での最後のタイムアウト。コビーがベンチに戻る際、自ら歩み寄り、チームメイト以外で抱き合った人物が1人だけいた。コートサイドで観戦していたシャックである。

 2人はハグを交わしながら耳元で一言二言会話し、コビーはシャックの胸を平手で1発叩いてからベンチへと戻った。相変わらずシリアスな表情のコビーと、満面の笑みをたたえるシャック。この数秒間の短いシーンに、紆余曲折のあった2人の物語の、すべてが詰まっていたような気がする。

文●大井成義

【PHOTO】「Mr.レイカーズ」&「Mr.NBA」史上最高のスーパースター、コビー・ブライアント特集!

※『ダンクシュート』2017年11月号掲載原稿に加筆・修正。
 
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号