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NBA

キャリア最終盤で見せた真剣勝負!コビーが唯一止められなかった男とその友情物語【後編】

大井成義

2020.01.29

NBA入り当初はコビーに圧倒されたデュラントだったが、徐々に弱点を克服し、やがて立場は逆転した。(C)Getty Images

NBA入り当初はコビーに圧倒されたデュラントだったが、徐々に弱点を克服し、やがて立場は逆転した。(C)Getty Images

■キャリア前半はTーMAC、後半はデュラントが好敵手

 コビーはかつて、同期のアレン・アイバーソンをライバル視しすぎるあまり、「強迫観念を抱いていた」と激白したことがあり、またディフェンダーとして最も厄介な選手にトニー・アレンの名前を挙げている。だが総合的には、時期的な要素を勘案すると、キャリアの前半に最もタフな相手として認知していたのがマッグレディであり、後半はデュラントだったと思われる。

 リサーチをしていると、デュラントのプレーについて、コビーがより詳しく言及しているインタビューに行き当たった。2018年、アメリカの人気ポッドキャスター兼ブロガーのダン“ビッグ・キャット”カッツと、元ヤンキースのアレックス・ロドリゲスがホストを務めるポッドキャスト・プログラム、『ザ・コープ』というインタビュー番組にコビーがゲストで出演した際に語られたものだ。

「現役時代、ガードするのが最もタフだった相手は?」という質問に対し、コビーは「ケビン・デュラント。ケビン・デュラント」と即答で2度繰り返し名前を上げている。そして次のように心情を吐露した。

「どうやったら止めることができるのか、答えを導き出せないまま引退することになった唯一の選手だよ」

 続けて、デュラントのプレーの変化について、興味深い話を打ち明けている。少々長く、マニアックな内容になるが、ぜひお付き合い願いたい。
 
「彼がリーグに来た当初は、ディフェンスするのが簡単だった。なぜなら、(相対した状態から)右に行ってシュートを打てなかったから。彼は、ある意味顔の前をボールを横切らせてシュートを打つ。それが彼の弱点だった。またポストでも、彼は左肩を軸に回転できず、すべてが右肩から動いていた。だから、俺にシュートを止めるだけのエリアを与えてくれたんだ。

 そこから彼は成長し始めた。そして今、彼は左にも右にも動けるし、長距離シュートも打て、左右どちらの手でもランナー(注:フローターと同義、もしくはそれより短い、ボールを浮かせたランニングシュート)が打てる。

 さらに以前は、リムの近辺で彼が左手でフィニッシュする前に、俺はいつでも彼をより左に追い込むことができた。彼には身長のアドバンテージがあったけど、左手でのフィニッシュを心地よく感じていなさそうだかったから、俺は彼の右サイドを締め付けて、厳しい状況に追い込むことができた。

 だが今、彼はそれらの弱点を完全に克服した。それゆえ、彼をどう守ればいいのか俺には解決策が見つからなかった。リズムの問題? 俺は彼が動き始めるまでの秒数を計ってみたりもしたよ。それでも彼のリズムを本当に理解することはできなかった。だから、プレーを解き明かせないまま、俺は引退に至ったのさ」
 

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