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バスケW杯

八村塁擁する”日本版ドリームチーム”は世界に通用するのか?史上最強アカツキファイブ、W杯への挑戦

出野哲也

2019.08.30

アメリカとの対戦で、八村はバーンズ(写真)とのマッチアップが濃厚。NBAで通用するか、格好の腕試しの場となる。(C)Getty Images

アメリカとの対戦で、八村はバーンズ(写真)とのマッチアップが濃厚。NBAで通用するか、格好の腕試しの場となる。(C)Getty Images

 では、本大会ではどのような戦いが繰り広げられるだろうか。初戦のトルコは自国開催の10年大会で準優勝、ユーロリーグでも今年のベスト4に2チームを送り込み、4年連続で決勝を戦っている強豪国。政府との対立によりエネス・カンター(セルティックス)が参加していなくともなお、アーサン・イリャソワ(バックス)やシェド・オスマン(キャバリアーズ)ら現役NBA選手に加え、国際大会の常連セミー・エルデンらもいる。この強敵相手にどの程度戦えるかが、最初の試金石となるだろう。

 2試合目のチェコは、ランキングの順位から判断しても一番勝てる可能性のある相手。もし勝利することがあれば、ヨーロッパ勢相手には64年東京五輪でイタリアとハンガリーに勝って以来となる。主力のサトランスキーは、12年にウィザーズからドラフト指名された選手であり、昨季までチームに所属していたこともあって、八村とは新旧ウィザード対決となる。
 もちろん一番の注目はアメリカ戦だ。A代表が国際大会でアメリカと戦うのは72年のミュンヘン以来47年ぶり。この時は33-99のトリプルスコアで大敗していて、今回も普通に考えれば勝てる確率は極めて低い。

 とはいえ、アメリカもジェームズ・ハーデン(ロケッツ)、アンソニー・デイビス(レイカーズ)、デイミアン・リラード(ブレイザーズ)といったスーパースターが軒並み出場を見合わせたため、ベストメンバーからはほど遠い。ケンバ・ウォーカー(セルティックス)やブルック・ロペス、クリス・ミドルトン(ともにバックス)らベテランこそいるが、多くはキャリアの浅い若手選手たちなので、付け入る隙がまったくないこともないだろう。

 昨季彼らと実際に戦っていた渡邊の存在も大きいが、やはりカギとなるのは体格、身体能力、ハイレベルの実戦経験をすべて備えている八村だ。彼にとっては、もちろん試合の勝敗が最重要ではあるけれども、NBA開幕を前にして一線級の選手相手にどれだけのパフォーマンスを発揮できるか、とりわけ課題とされる3ポイントとディフェンスがどの程度通用するか、格好の腕試しの場ともなる。15年にNBA制覇を果たしたウォリアーズの先発メンバー、ハリソン・バーンズ(キングス)は同じフォワードでサイズも同等であるため、マッチアップする可能性が高そうだ。

 FIBAランキングを見ても、1勝するだけでも難しい相手ばかりで、2次ラウンドへ進出できる見込みは正直言って低い。それでもこれまでの日本とは違った戦い方を見せ、今までなかったような結果をもたらしてくれるのではないか――と期待できるメンバーが揃っているのも、また間違いない。「この国をバスケットボールの世界地図に復活させたい」と八村は語っているが、彼の意気込みが実現する日は、間近に迫っている。

文●出野哲也(フリーライター)

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