専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
海外サッカー

「エムバペとヴィニシウスの共存問題」が解決!? 前者に自由を与え、後者に守備タスクを要求したシャビ・アロンソ監督の采配を現地メディアは高く評価

下村正幸

2025.09.28

シャビ・アロンソ監督はヴィニシウス(右)との2トップではなく、完全にエムバペ(左)中心の攻撃陣を形成した。

シャビ・アロンソ監督はヴィニシウス(右)との2トップではなく、完全にエムバペ(左)中心の攻撃陣を形成した。

 シャビ・アロンソ監督はレアル・マドリーの監督就任以来、進むべき方向性を明確に示して、チームをマネジメントしている。その最たる例がカルロ・アンチェロッティ前政権時代から持ち越しとなったキリアン・エムバペ(フランス代表)とヴィニシウス・ジュニオール(ブラジル代表)の共存を巡る対処法だ。

 両雄並び立たずと言われる通り、昨シーズンは、破壊力抜群のアタッカー2人を並べるメリットよりも、守備面でのデメリットが目立っていた。そんな中、クラブW杯を終え、シーズンが切り替わるとシャビ・アロンソ監督は、エムバペ中心のチーム作りへと明確に舵を切った。この采配をフリージャーナリストのアドリアン・ブランコ氏は、こう高く評価する。

「6節を終えて7ゴール。まさにノンストップ状態だ。今のエムバペにとってはすべてがシンプルだ。あらゆるチャンスを余裕を持って生み出し、フィニッシュまで完遂している。開幕以来、毎試合スペクタクルなプレーを披露している」

 翻って、ヴィニシウスに対しては他の選手と同様に守備のタスクを要求するとともに、これまでの特権を剥奪。5節のエスパニョール戦まではフル出場がゼロ、チャンピオンズリーグ開幕戦のマルセイユ戦もベンチスタートだった。エスパニョール戦では途中交代後、あからさまに不満を露わにし、メディアの注目を集めていた。
 
 スペイン紙『AS』のマルコ・ルイス記者は、2人の起用法について次のように論じている。

「シャビ・アロンソ監督の考え方は理解できる。今のマドリーには簡単にゴールを奪える選手が1人いる。その名はエムバペだ。もし誰かの守備の負担を軽くするなら、それは彼だ。その中で他の選手が守備をサボれば、チームのバランスは崩れてしまう」

 一方、大物ジャーナリストのサンティアゴ・セグロラは、アンチェロッティ前監督の柔軟性とは対照的な、妥協を許さないシャビ・アロンソ監督の厳格な姿勢がもたらすプラス面を次のように強調する。

「ヴィニシウスに対して厳しさを打ち出すことで、本人だけでなくチーム全体にメッセージを送った」

 前述の途中交代で怒りを露わにした件に加えて、『AS』が契約延長交渉の難航を報じるなど、ヴィニシウスの周辺はますます騒がしくなっているが、レバンテ戦では右足アウトサイドでコントロールショットを決めて溜飲を下げた。ヴィニシウスが近年、守備の献身性を低下させていたのは明らか。シャビ・アロンソ監督の起用法が守備にも奔走するヴィニシウスのかつての姿を取り戻すきっかけとなれば、自ずとエムバペとの共存問題の解決に向けた道のりも見えてくるはずだ。

文●下村正幸

【動画】敵地でレバンテを一蹴! エムバペは2ゴールをゲット
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号

  • soccer_digest

    10月10日(金)発売

    定価:800円 (税込)
  • world_soccer_digest

    10月16日(木)発売

    定価:980円 (税込)
  • smash

    10月21日(火)発売

    定価:800円 (税込)
  • dunkshot

    10月16日(木)発売

    定価:1650円 (税込)
  • slugger

    9月24日(水)発売

    定価:1100円 (税込)