今夏、出場クラブを32に増やして1か月もの長期間で開催されたクラブワールドカップに対しては、選手の心身への負担を増大させるものとして、開幕前から多くの厳しい意見が寄せられた。
FIFA(国際サッカー連盟)に限らず、サッカー界全体が「拡大路線」を辿り続ける中では、常に付きまとうこの問題について、世界中のプロサッカー選手の労働組合として活動する「国際プロサッカー選手会(FIFPro)」は今週月曜日、試合過多、適切な休暇の欠如、長距離移動についての懸念を表明するレポートを発表した。
現在のサッカーカレンダーに関する調査を行なった同機関は、過密な試合スケジュールが世界中の選手の健康、パフォーマンス、キャリアに与える影響について警告。100ページを超える報告書で指摘された懸念の中には、適切な休暇の欠如や、試合のために選手たちが移動する距離の長さ、そして若い選手たちの過重労働なども挙げられている。
休暇の短さについては、この傾向がサッカーにおいて他のトップレベル競技と比べても顕著であることを強調。欧州の主要リーグに所属し、なおかつ母国の代表チームにも招集される選手の場合、平均で休暇は3週間しかないのに対し、他競技のアスリートはそのほぼ5倍の期間で休めるのだという。
比較対象として、アメリカのNBA(バスケットボール)の選手はファイナリストであっても14週間の休暇を与えられ、プレーオフにすら進出しなかった選手の場合は23週間に増加する。MLB(野球)もポストシーズンの出場の有無で違いは生じるものの、15~20週間のオフ期間が設定されている。
FIFProは、サッカー選手にとっての望ましい休暇期間は「28日間」で、さらにプレシーズンにも同日数が必要だとしているが、実際のところ、今夏のクラブW杯に出場したクラブはどこも、この「最低期間」すら選手に与えられていないと指摘した(決勝進出チームではチェルシーが13日、パリ・サンジェルマンはわずか7日)。
同機関のレポートは、シーズン全体における過密日程にも言及し、過剰な試合数をこなした事例として、昨季70試合以上に出場したレアル・マドリードのフェデリコ・バルベルデ、インテルのアレッサンドロ・バストーニ、パリSGのファビアン・ルイスを紹介。また、長い連戦と試合間隔の短さによって十分な回復を得られなかった選手の例には、バイエルンのキム・ミンジェ、バルセロナのペドリ、そしてウニベルシダ・デ・チレのハビエル・アルタミラノの名が挙げられた。
さらに移動距離の長さでは、チェルシーのモイセス・カイセドが14日間で4試合をこなすために2万5000km、レバンテのオーストラリア人GKマシュー・ライアンと、スウォンジーのニュージーランド人MFマルコ・スタメニッチが16万5000km以上(地球4周分以上!)のフライトを強いられたという。
そして若手選手の過剰な試合数に対しても、報告書はキャリアの持続性に悪影響を及ぼす可能性を指摘している。ここではブラジルの歴代選手の18歳時における年間プレー時間(クラブ&代表)を比較。ロナウド1474分、ロナウジーニョ246分、ネイマール3468分、ヴィニシウス・ジュニオール3592分、エステバン4886時間、エンドリッキ5257分と、「酷使」の度合いは年々上昇していることが見て取れる。同機関は、これを「有害となり得る」として、「18歳未満の選手にはプレー時間の上限を設定すべき」と提言している。
構成●THE DIGEST編集部
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FIFA(国際サッカー連盟)に限らず、サッカー界全体が「拡大路線」を辿り続ける中では、常に付きまとうこの問題について、世界中のプロサッカー選手の労働組合として活動する「国際プロサッカー選手会(FIFPro)」は今週月曜日、試合過多、適切な休暇の欠如、長距離移動についての懸念を表明するレポートを発表した。
現在のサッカーカレンダーに関する調査を行なった同機関は、過密な試合スケジュールが世界中の選手の健康、パフォーマンス、キャリアに与える影響について警告。100ページを超える報告書で指摘された懸念の中には、適切な休暇の欠如や、試合のために選手たちが移動する距離の長さ、そして若い選手たちの過重労働なども挙げられている。
休暇の短さについては、この傾向がサッカーにおいて他のトップレベル競技と比べても顕著であることを強調。欧州の主要リーグに所属し、なおかつ母国の代表チームにも招集される選手の場合、平均で休暇は3週間しかないのに対し、他競技のアスリートはそのほぼ5倍の期間で休めるのだという。
比較対象として、アメリカのNBA(バスケットボール)の選手はファイナリストであっても14週間の休暇を与えられ、プレーオフにすら進出しなかった選手の場合は23週間に増加する。MLB(野球)もポストシーズンの出場の有無で違いは生じるものの、15~20週間のオフ期間が設定されている。
FIFProは、サッカー選手にとっての望ましい休暇期間は「28日間」で、さらにプレシーズンにも同日数が必要だとしているが、実際のところ、今夏のクラブW杯に出場したクラブはどこも、この「最低期間」すら選手に与えられていないと指摘した(決勝進出チームではチェルシーが13日、パリ・サンジェルマンはわずか7日)。
同機関のレポートは、シーズン全体における過密日程にも言及し、過剰な試合数をこなした事例として、昨季70試合以上に出場したレアル・マドリードのフェデリコ・バルベルデ、インテルのアレッサンドロ・バストーニ、パリSGのファビアン・ルイスを紹介。また、長い連戦と試合間隔の短さによって十分な回復を得られなかった選手の例には、バイエルンのキム・ミンジェ、バルセロナのペドリ、そしてウニベルシダ・デ・チレのハビエル・アルタミラノの名が挙げられた。
さらに移動距離の長さでは、チェルシーのモイセス・カイセドが14日間で4試合をこなすために2万5000km、レバンテのオーストラリア人GKマシュー・ライアンと、スウォンジーのニュージーランド人MFマルコ・スタメニッチが16万5000km以上(地球4周分以上!)のフライトを強いられたという。
そして若手選手の過剰な試合数に対しても、報告書はキャリアの持続性に悪影響を及ぼす可能性を指摘している。ここではブラジルの歴代選手の18歳時における年間プレー時間(クラブ&代表)を比較。ロナウド1474分、ロナウジーニョ246分、ネイマール3468分、ヴィニシウス・ジュニオール3592分、エステバン4886時間、エンドリッキ5257分と、「酷使」の度合いは年々上昇していることが見て取れる。同機関は、これを「有害となり得る」として、「18歳未満の選手にはプレー時間の上限を設定すべき」と提言している。
構成●THE DIGEST編集部
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