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海外サッカー

セリエA首位浮上の好調ミラン「チーム全体の構造が安定した」要因と「改善・向上の余地が残されている」局面とは【現地発コラム】

片野道郎

2025.09.30

モドリッチ(中央)やラビオ(右から2人目)を加えたミランが、セリエAで首位に立った。(C)Alberto LINGRIA

モドリッチ(中央)やラビオ(右から2人目)を加えたミランが、セリエAで首位に立った。(C)Alberto LINGRIA

 4連勝で首位を走るナポリを、3位ミランがサン・シーロに迎えたセリエA序盤の首位攻防戦は、開始31分までに2点を挙げたミランが、最後の約30分を10人で戦いながらリードを守り切って2-1で勝利。勝点で並んだナポリ、ローマを得失点差で上回って首位に躍り出た。

 開幕からまだ5試合目という現時点で、目先の勝ち負けや順位に過度にこだわることにはあまり意味がない。その観点を脇に置いてこの試合を見た時に強い印象を残したのは、両チームの完成度の差だった。

 ナポリはケビン・デ・ブライネ、ミランはルカ・モドリッチと、キャリアのピークを過ぎたワールドクラスを補強の目玉として獲得し、彼らをどのようにチームに組み込み機能させるかが、シーズン序盤の大きな課題となっている。この試合ではまさにその点における違いが浮き彫りになったように見えた。

 ミランは、新監督マッシミリアーノ・アッレーグリがプレシーズンから開幕直後にかけて続けてきた試行錯誤を経て、ここ2~3試合でチームが固まり、明確なアイデンティティーを帯びつつあるように見える。大きいのは、移籍マーケットの期限ぎりぎりに「棚ボタ」に近い形で獲得したアドリアン・ラビオが「ラストピース」としてぴったり収まったこと。これで中盤が安定し、モドリッチを司令塔として中核に据えたチームの構造が確立された観がある。

 一方のナポリは、2年目のアントニオ・コンテ監督が、昨シーズン確立したチームの構造に手を加える形でデ・ブライネの居場所を作り出そうとしているが、その試みがまだうまくいっておらず、特に攻撃の局面で、彼の持ち味を引き出すことも、チーム全体のバランスを確立することもできていない。

 この試合でも、最後の約30分を1人多い状況で戦ったにもかかわらず、受けに回ったミランのローブロックを崩すきっかけを作り出すことすらできず、デ・ブライネは70分過ぎに交代でピッチを去っている。
 
 ここでは、勝ったミランに焦点を当てて、この試合で浮き彫りになったチームの現状を掘り下げていきたい。ミランのアッレーグリ監督がピッチに送り出した布陣は以下の通り。

ミラン(3-5-1-1)
GK:メニャン
DF:トモリ、ガッビア、パブロビッチ
MF:サーレマーケルス、フォファナ、モドリッチ、ラビオ、エストゥピニャン
OMF:プリシック
FW:ヒメネス

 8月に戦った開幕からの2試合では、中盤が上記からラビオを除いた4人、ルベン・ロフタス=チークとクリスチャン・プリシックをトップ下に並べた3-4-2-1が基本配置だった。ラビオが加わった第3節のボローニャ戦では、ラビオを中盤に加える一方でプリシックを外した3-5-2、前節のウディネーゼ戦とこのナポリ戦では、同じ3-5-2でトップ下をロフタス=チークからプリシックに替えた上記の布陣となっている。

 中盤に加わったラビオは、攻守両局面で広い範囲をカバーして攻守のバランスを担保することができる万能型のMF。アッレーグリが志向する、チームの重心を低めに設定して、ボール保持時にはピッチを大きく使って攻撃するスタイルには不可欠なタイプであり、ユベントス時代にも常に重用されてきた。

 ユベントスとの契約満了後、昨シーズンからマルセイユでプレーしていたが、今シーズンの開幕戦後、ロッカールームでチームメイトと大喧嘩してロベルト・デ・ゼルビ監督の不興を買い事実上の追放処分を受けたことで、元々指揮官の強い要望で獲得を望んでいたミランが飛びついたという格好だった。

 そのラビオが左インサイドハーフに入って、右のユースフ・フォファナとともにモドリッチの両脇を固める構成となった中盤は、クオリティーにおいても強度においてもセリエA屈指のレベルにある。
 
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