チャンピオンズリーグ1試合を含む公式戦7連勝と、好スタートを切っていたレアル・マドリーにとって、今回のマドリード・ダービーは試金石的な位置づけだった。長年バルセロナを追っているリカルド・トルケマダ記者は次のように展望していた。
「シャビ・アロンソ率いるマドリーは急速に成熟したようだ。初期段階では、様々なフォーメーションによる戦術的な柔軟性、ボール支配を軸にした手数をかけた攻撃、素早いプレスによる即時奪回が際立っている。試合は以前ほどオープンにはならず、劇的な要素は減ったが、敵陣で主導権を握る展開を基盤とした集団的なプロセスに意味を持たせる意識が強まっている。アトレティコ・マドリー戦は、これまでの成果を確認する試合になる」
結果は2-5の大敗。内容もアトレティコの一方的な展開となった。キリアン・エムバペとアルダ・ギュレルのゴールで一度は逆転に成功したが、スペイン紙『AS』の副編集長、ハビエル・シジェス氏が「マドリーは何もできなかった。赤と白の猛攻にさらされ、頼るものもなく、壊れたおもちゃのようだった」と酷評する。
左SBのアルバロ・カレーラスやCBディーン・ハイセンら序盤の快進撃を支えてきたニューフェイスも低調なパフォーマンスに終始。フリージャーナリストのミゲル・キンターナ氏は「イーブンボールはことごとくアトレティコが制していた。これはチーム全体の問題だ。しかしその一方でカレーラスとハイセンのインパクトが薄れるどころか、むしろチームの足かせとなっていたのは彼ら自身の責任だ。2人のパフォーマンスはそれほど酷かった」と手厳しく評価する。
当然、シャビ・アロンソ監督の采配にも疑問符が付けられている。中でも、ここまで非凡な才能を示していたフランコ・マスタントゥオーノをスタメンから外し、代わりに故障明けのジュード・ベリンガムを起用した判断と、マドリーの2得点に絡む活躍を見せていたギュレルを、後半の早い時間帯(59分)にベンチに下げてしまった2つの采配が、やり玉に挙げられている。
シャビ・アロンソ監督は、開幕以来、実力主義に基づいた選手起用を掲げ、実践してきた。シジェス氏の同僚、『AS』のアリツ・ガビロンド記者も、「シャビは自分の理想から離れ、結果的に前任者のカルロ・アンチェロッティに近い采配をした。真のシャビなら、マスタントゥオーノをスタメンから外して、まだ万全とは言えないベリンガムを起用する暴挙には出なかっただろう。真のシャビなら、他の選手のメンツを保つために、ギュレルを途中交代させるという間違いは犯さなかっただろう。しかし、彼はそうした」と、含みを持たせて指摘する。
『AS』によると、アトレティコがホームのマドリード・ダービーで5得点を記録したのは75年ぶりだという。熱狂的なマドリディスタとして有名な同紙のトマス・ロンセロ記者は、「これほどの屈辱を感じた経験はほとんどない。アトレティコがマドリーのゴールに5点も叩き込むなんて。ダービーでこんな事態が起こっていいはずがない」とファンの気持ちを代弁する。
マドリーは昨シーズンから、国内外を問わず強豪相手に敗戦を喫する状況が続いている。その中にはいくつかの大敗も含まれているが、同じ街のライバルにマニータ(手のひらの意味。5得点を指す)を許しての惨敗のショックは、かなり大きかったようだ。今、選手たちがすべきは、この悔しさを今後の戦いの燃料に変える努力。30日、マドリーはチャンピオンズリーグ・リーグフェーズ第2節、カイラト(カザフスタン)との一戦に臨む。
文●下村正幸
【動画】アトレティコが宿敵マドリーから5得点! 7節マドリード・ダービー ハイライト
「シャビ・アロンソ率いるマドリーは急速に成熟したようだ。初期段階では、様々なフォーメーションによる戦術的な柔軟性、ボール支配を軸にした手数をかけた攻撃、素早いプレスによる即時奪回が際立っている。試合は以前ほどオープンにはならず、劇的な要素は減ったが、敵陣で主導権を握る展開を基盤とした集団的なプロセスに意味を持たせる意識が強まっている。アトレティコ・マドリー戦は、これまでの成果を確認する試合になる」
結果は2-5の大敗。内容もアトレティコの一方的な展開となった。キリアン・エムバペとアルダ・ギュレルのゴールで一度は逆転に成功したが、スペイン紙『AS』の副編集長、ハビエル・シジェス氏が「マドリーは何もできなかった。赤と白の猛攻にさらされ、頼るものもなく、壊れたおもちゃのようだった」と酷評する。
左SBのアルバロ・カレーラスやCBディーン・ハイセンら序盤の快進撃を支えてきたニューフェイスも低調なパフォーマンスに終始。フリージャーナリストのミゲル・キンターナ氏は「イーブンボールはことごとくアトレティコが制していた。これはチーム全体の問題だ。しかしその一方でカレーラスとハイセンのインパクトが薄れるどころか、むしろチームの足かせとなっていたのは彼ら自身の責任だ。2人のパフォーマンスはそれほど酷かった」と手厳しく評価する。
当然、シャビ・アロンソ監督の采配にも疑問符が付けられている。中でも、ここまで非凡な才能を示していたフランコ・マスタントゥオーノをスタメンから外し、代わりに故障明けのジュード・ベリンガムを起用した判断と、マドリーの2得点に絡む活躍を見せていたギュレルを、後半の早い時間帯(59分)にベンチに下げてしまった2つの采配が、やり玉に挙げられている。
シャビ・アロンソ監督は、開幕以来、実力主義に基づいた選手起用を掲げ、実践してきた。シジェス氏の同僚、『AS』のアリツ・ガビロンド記者も、「シャビは自分の理想から離れ、結果的に前任者のカルロ・アンチェロッティに近い采配をした。真のシャビなら、マスタントゥオーノをスタメンから外して、まだ万全とは言えないベリンガムを起用する暴挙には出なかっただろう。真のシャビなら、他の選手のメンツを保つために、ギュレルを途中交代させるという間違いは犯さなかっただろう。しかし、彼はそうした」と、含みを持たせて指摘する。
『AS』によると、アトレティコがホームのマドリード・ダービーで5得点を記録したのは75年ぶりだという。熱狂的なマドリディスタとして有名な同紙のトマス・ロンセロ記者は、「これほどの屈辱を感じた経験はほとんどない。アトレティコがマドリーのゴールに5点も叩き込むなんて。ダービーでこんな事態が起こっていいはずがない」とファンの気持ちを代弁する。
マドリーは昨シーズンから、国内外を問わず強豪相手に敗戦を喫する状況が続いている。その中にはいくつかの大敗も含まれているが、同じ街のライバルにマニータ(手のひらの意味。5得点を指す)を許しての惨敗のショックは、かなり大きかったようだ。今、選手たちがすべきは、この悔しさを今後の戦いの燃料に変える努力。30日、マドリーはチャンピオンズリーグ・リーグフェーズ第2節、カイラト(カザフスタン)との一戦に臨む。
文●下村正幸
【動画】アトレティコが宿敵マドリーから5得点! 7節マドリード・ダービー ハイライト
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