10月21~22日にリーグフェーズ第3節を消化したUEFAチャンピオンズリーグは、パリ・サンジェルマン、バイエルン、インテル、アーセナル、レアル・マドリーの6チームが3連勝(勝点9)で首位を争い、2勝1分け(勝点7)のドルトムント、マンチェスター・シティがそれに続く展開となっている。
順位表を見ると、上位10チームのうちニューカッスルを除く9チームは、現時点におけるUEFAクラブランキングでトップ10を占めている強豪。出遅れているのは、シャビ・アロンソ監督がR・マドリーに引き抜かれ、後任のテン・ハーフをブンデスリーガ開幕わずか3試合で解任するなど迷走気味のレバークーゼン(勝点2でプレーオフ圏外の30位)だけだ。
同じ第3節終了時点で、トップ10にアストン・ビラ(1位)、モナコ(4位)、ブレスト(5位)、スポルティング(8位)と、サプライズが4チームも入っていた昨シーズンと比べると、今シーズンのCLリーグフェーズはかなり順当な展開だと言えるだろう。
ただ、その昨シーズンも、第6節まで進んだところでは、R・マドリー、マンチェスター・C、パリSGが順位表の下半分(17位以下)まで沈み、3節終了時点で20位台だったバイエルン、ミラン、アトレティコ・マドリーが上位に浮上していたので、現時点での絶対的な順位自体はそれほどあてにはならない部分もある。
むしろ、順当すぎてやや興趣に欠けるここまでの展開が、今後の2~3節で大きく揺さぶられることを期待したい気持ちにもなってくる。筆者の場合、贔屓にしているイタリア勢のうちインテルを除く3チームが揃って苦戦を強いられ、順位表の下半分に低迷しているからなおさらだ。以下、そのイタリア勢4チームについての現状と展望を整理しておきたい。
●インテル:3位(勝点9=3勝0分け0敗/9得点0失点)
ここまでアヤックス、スラビア・プラハ、ユニオン・サン=ジロワーズと、格下(ポット3~4)相手に取りこぼしなく3連勝して、しっかり勝点9を積み上げた。次節も、出場32チーム中UEFAクラブランキング最下位のカイラトをホームに迎えての対戦であり、勝点3は堅いところだろう。
しかし、楽な相手との戦いはそこまで。後半4試合は、A・マドリー、リバプール、アーセナル、ドルトムントと、ランキングトップ10の強豪との直接対決が続く。プレーオフなしでラウンド・オブ16に進出できる8位以内に入るためのボーダーラインは勝点16と予想されており、後半4試合で少なくとも勝点4(1勝1分け2敗)は稼ぐ必要がある。つまり、安心するのはまだまだ早いということだ。
クリスティアン・キブを新監督に迎えた今シーズンのインテルは、過去3シーズンで二度チームをCL決勝に導いた前任者シモーネ・インザーギが築いたチームの基本構造を保ちつつ、細部のブラッシュアップを図ることで、さらなる成長を目指している。そのコンセプトは、攻撃の基本的なメカニズム、ラスト30m攻略のクオリティーはほぼ維持しながら、守備の局面でチームの重心を上げて積極的なハイプレスから能動的なボール奪取を狙うことで、より長い時間を敵陣で過ごし、ボールと地域を支配して戦うというもの。
ここまでのところ、セリエAでもCLでもそれが狙い通りに機能し、チームは着実に成長しているように見える。それが、これからCLでぶつかる欧州トップ10の強豪たちにどれだけ通用するかは、インテルの今後を占ううえで大きな注目点と言えるだろう。
●アタランタ:17位(勝点4=1勝1分1敗/2得点5失点)
パリSGに0-4の完敗を喫した後、同じポット2のクラブ・ブルージュとの接戦を2-1で制したのは良かったが、今節はポット3のスラビア・プラハをほぼ一方的に押し込みながら、フィニッシュに決め手を欠いて0-0の痛い引き分け。ホーム戦だったこともあり、勝点2を取りこぼしたと言っていい。
9シーズンに渡ってチームを率い、CL出場5回、ヨーロッパリーグ優勝と一時代を築いたジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督がローマに去った今シーズンは、その愛弟子というべきイバン・ユリッチを後任に迎えての1年目。マンツーマン守備を基本とする3-4-3システム(前線の構成は2-1、1-2など流動的)という戦術的な大枠はそのまま継承されており、陣容にも大きな変化はなしと、継続性は十分なレベルで確保されている。
ただ、最大の得点源だったCFマテオ・レテギがサウジアラビアに移籍し、2年前のEL制覇の立役者アデモラ・ルックマンも移籍志願によるゴタゴタでまだ本調子からほど遠い状態と、前線の得点力が明らかに低下しているのは小さくない懸念点。スラビア・プラハ戦でもそれが露呈した格好だった。ルックマンの復調に加えて、CFを務めるニコラ・クルストビッチ、ジャンルカ・スカマッカの覚醒が期待されるところだ。
ここからは、マルセイユ、フランクフルトとほぼ同格の2チームと戦った後、ポット1のチェルシー、そして1月にポット4のアスレティック・ビルバオ、ユニオンSGという日程。プレーオフ圏内を確実にするボーダーラインは勝点12と見られているため、残り5試合で勝点8が必要となる計算だ。ユニオンSGに勝つことを前提としてもなお、マルセイユ、フランクフルト、ビルバオから勝点5を奪わなければならないとすれば、ここからの2試合が文字通り正念場である。
順位表を見ると、上位10チームのうちニューカッスルを除く9チームは、現時点におけるUEFAクラブランキングでトップ10を占めている強豪。出遅れているのは、シャビ・アロンソ監督がR・マドリーに引き抜かれ、後任のテン・ハーフをブンデスリーガ開幕わずか3試合で解任するなど迷走気味のレバークーゼン(勝点2でプレーオフ圏外の30位)だけだ。
同じ第3節終了時点で、トップ10にアストン・ビラ(1位)、モナコ(4位)、ブレスト(5位)、スポルティング(8位)と、サプライズが4チームも入っていた昨シーズンと比べると、今シーズンのCLリーグフェーズはかなり順当な展開だと言えるだろう。
ただ、その昨シーズンも、第6節まで進んだところでは、R・マドリー、マンチェスター・C、パリSGが順位表の下半分(17位以下)まで沈み、3節終了時点で20位台だったバイエルン、ミラン、アトレティコ・マドリーが上位に浮上していたので、現時点での絶対的な順位自体はそれほどあてにはならない部分もある。
むしろ、順当すぎてやや興趣に欠けるここまでの展開が、今後の2~3節で大きく揺さぶられることを期待したい気持ちにもなってくる。筆者の場合、贔屓にしているイタリア勢のうちインテルを除く3チームが揃って苦戦を強いられ、順位表の下半分に低迷しているからなおさらだ。以下、そのイタリア勢4チームについての現状と展望を整理しておきたい。
●インテル:3位(勝点9=3勝0分け0敗/9得点0失点)
ここまでアヤックス、スラビア・プラハ、ユニオン・サン=ジロワーズと、格下(ポット3~4)相手に取りこぼしなく3連勝して、しっかり勝点9を積み上げた。次節も、出場32チーム中UEFAクラブランキング最下位のカイラトをホームに迎えての対戦であり、勝点3は堅いところだろう。
しかし、楽な相手との戦いはそこまで。後半4試合は、A・マドリー、リバプール、アーセナル、ドルトムントと、ランキングトップ10の強豪との直接対決が続く。プレーオフなしでラウンド・オブ16に進出できる8位以内に入るためのボーダーラインは勝点16と予想されており、後半4試合で少なくとも勝点4(1勝1分け2敗)は稼ぐ必要がある。つまり、安心するのはまだまだ早いということだ。
クリスティアン・キブを新監督に迎えた今シーズンのインテルは、過去3シーズンで二度チームをCL決勝に導いた前任者シモーネ・インザーギが築いたチームの基本構造を保ちつつ、細部のブラッシュアップを図ることで、さらなる成長を目指している。そのコンセプトは、攻撃の基本的なメカニズム、ラスト30m攻略のクオリティーはほぼ維持しながら、守備の局面でチームの重心を上げて積極的なハイプレスから能動的なボール奪取を狙うことで、より長い時間を敵陣で過ごし、ボールと地域を支配して戦うというもの。
ここまでのところ、セリエAでもCLでもそれが狙い通りに機能し、チームは着実に成長しているように見える。それが、これからCLでぶつかる欧州トップ10の強豪たちにどれだけ通用するかは、インテルの今後を占ううえで大きな注目点と言えるだろう。
●アタランタ:17位(勝点4=1勝1分1敗/2得点5失点)
パリSGに0-4の完敗を喫した後、同じポット2のクラブ・ブルージュとの接戦を2-1で制したのは良かったが、今節はポット3のスラビア・プラハをほぼ一方的に押し込みながら、フィニッシュに決め手を欠いて0-0の痛い引き分け。ホーム戦だったこともあり、勝点2を取りこぼしたと言っていい。
9シーズンに渡ってチームを率い、CL出場5回、ヨーロッパリーグ優勝と一時代を築いたジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督がローマに去った今シーズンは、その愛弟子というべきイバン・ユリッチを後任に迎えての1年目。マンツーマン守備を基本とする3-4-3システム(前線の構成は2-1、1-2など流動的)という戦術的な大枠はそのまま継承されており、陣容にも大きな変化はなしと、継続性は十分なレベルで確保されている。
ただ、最大の得点源だったCFマテオ・レテギがサウジアラビアに移籍し、2年前のEL制覇の立役者アデモラ・ルックマンも移籍志願によるゴタゴタでまだ本調子からほど遠い状態と、前線の得点力が明らかに低下しているのは小さくない懸念点。スラビア・プラハ戦でもそれが露呈した格好だった。ルックマンの復調に加えて、CFを務めるニコラ・クルストビッチ、ジャンルカ・スカマッカの覚醒が期待されるところだ。
ここからは、マルセイユ、フランクフルトとほぼ同格の2チームと戦った後、ポット1のチェルシー、そして1月にポット4のアスレティック・ビルバオ、ユニオンSGという日程。プレーオフ圏内を確実にするボーダーラインは勝点12と見られているため、残り5試合で勝点8が必要となる計算だ。ユニオンSGに勝つことを前提としてもなお、マルセイユ、フランクフルト、ビルバオから勝点5を奪わなければならないとすれば、ここからの2試合が文字通り正念場である。
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