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海外サッカー

開催国が出場国を爆撃する異常事態、イラン出場はどうなる? 英紙がFIFAを猛批判「サッカーも血に手を染めた」【北中米W杯】

THE DIGEST編集部

2026.03.04

イラン代表のワールドカップ出場はかなうのだろうか。(C)Getty Images

イラン代表のワールドカップ出場はかなうのだろうか。(C)Getty Images

 アメリカとイスラエルによる軍事攻撃を受け、2026年ワールドカップへの出場権を獲得しているイランの参加可否が、国際サッカー界の重大な懸案となっている。開催国のひとつが出場国と軍事衝突状態に入るという前例のない事態に、FIFA(国際サッカー連盟)の統治能力と政治的立ち位置が厳しく問われている。

 英紙『Guardian』は、イランがW杯出場を辞退した場合の代替国について「イラクとUAEが最も有力な受益国と見られている」と報道。記事の中でFIFAのマティアス・グラフストロム事務総長は「我々の焦点は、全てのチームが参加できる安全なW杯を実現すること」と強調したが、イラン・イスラム共和国サッカー連盟(FFIRI)のメフディ・タジ会長は「この攻撃の後では、希望を持ってW杯を楽しみにできない」と語り、出場に強い疑問を呈している。

 同紙はまた、抽選後に出場国が撤退するのは「近代では前例がない」と紹介。1950年のブラジル大会でフランスとインドが渡航費用を理由に不参加となって以来、同様のケースは起きていないという。FIFAの大会規則は、出場国変更について「必要と判断されるあらゆる措置を、単独の裁量で取ることができる」と定めるに止まり、具体的な手続きは明示されていない。イランが辞退した場合、アジア枠からの繰り上げが有力視されるが、その判断基準も不透明だ。

 スポーツ専門チャンネル『ESPN』は、より具体的なシナリオを提示する。「W杯に出場するのか。時期尚早で分からない」とし、政治的ボイコット、安全上の理由による自主辞退、あるいは米政府による入国拒否など、複数の可能性を挙げた。実際、米政権は昨年6月に米永住権や有効なビザを持っていないイラン国民の渡航禁止措置を導入しているが、「W杯やオリンピックなどの主要大会に出場する選手、コーチ、スタッフとその近親者」には例外を認めているという。ただし、FFIRI幹部の一部が昨年12月の組み合わせ抽選会に出席できなかった事実もある。

 また『Guardian』は、大会形式の変更にも言及。FIFAは規則上、イランが属するグループGを3チーム制に変更することも可能だが、試合数減少は放映権契約に影響を及ぼす恐れがあるとされる。「明確な代替国の選定は必ずしも容易ではない」との指摘もあり、3月26日と31日に行なわれる欧州予選プレーオフや大陸間プレーオフの行方も絡む複雑な問題となっている状況だ。
 
 FIFAは今回の攻撃を受け、「世界中のあらゆる問題の進展を注視する」との立場を示すに止めている。イランのW杯グループリーグでの3試合はロサンゼルスとシアトルで予定され、アリゾナ州ツーソンにトレーニング拠点を設ける計画だったが、情勢は予断を許さない。

 一方、英紙『Independent』も、「開催国が出場国のひとつを爆撃する前例のない危機」と表現。北中米大会は異例尽くしで、大会準備段階から「問題に次ぐ問題」が発生してきたと振り返る。48チームへの出場国拡大、イスラエルをめぐる議論、欧州諸国によるボイコット案の検討、開催都市での治安問題など、地政学的緊張が常に影を落としてきたと指摘。「今のところ空白しかない」として、FIFAが具体的なロードマップを示せていない現状を批判した。

 こうした混乱を受けて、『Guardian』はFIFAのジャンニ・インファンティーノ会長の政治的姿勢を厳しく批判。米国がイラン攻撃に踏み切ったことで、「サッカーもまた血に手を染めた」との強い言葉で断罪。FIFAが政治的中立を掲げながらも、米政権との関係を深めてきた件について、「いずれ歴史が裁くだろう」と結んでいる。

 ちなみに同紙は、今夏のW杯については政治面だけでなく、経済的な側面でも懸念が広がっているとも報じており、欧州の複数のサッカー協会が「W杯に参加することで財政的損失を被ることを懸念している」と記述。賞金総額は過去最高水準に設定されたが、それでも「損失や利益減少を防ぐには不十分かもしれない」という。

 特に問題視されているのが税制で、開催国は出場協会への税免除を保証するのが通例だが、カナダとメキシコでは合意がある一方、米国では同様の取り決めが整っていない。州ごとに税率が大きく異なるため、「どこで試合を行なうかによって財政の見通しが大きく変わりえる」というのが理由だ。加えて、長距離移動、ドル高、滞在費増、大会期間延長などもコスト増の要因となっている。

構成●THE DIGEST編集部

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