バイエルン、ドイツ代表で輝かしい経歴を築き、現役引退後は様々な分野で活躍しているフィリップ・ラームが、英国の日刊紙『The Guardian』のコラムで、現代サッカーにおける守備戦術の潮流について持論を展開し、「スペイン流」が主流となる一方で、「イタリア流」は時代から取り残されつつあるとの見解を示した。
キャプテンとしてチャンピオンズリーグ(CL)、ワールドカップを勝ち取った偉大なレジェンドはまず、ドイツでかつて一般的だったマンツーマン守備について、「相手をトイレの中まで追いかけろ!――それがマンマークの合言葉だった。守備者はあまり深く考える必要はなかった」と指摘し、「このレトロな戦術が、アタランタが2023-24シーズンにヨーロッパリーグを制して以来、予想外の復活を遂げている」と現状を説明している。
しかし一方で、その有効性には明確な限界があるとし、「個の質で大きく上回る相手に対して、マンツーマンでは勝ち目はない。アタランタは今季のCLラウンド・オブ16のバイエルン戦でそれを痛感した。バイエルンは広大なスペースを得て、2試合で10ゴールを奪ったが、このレベルでこれほど一方的な試合は珍しい」と強調。「ブンデスリーガでも再びマンマークが増えているが、これはあくまで短期的な奇襲策に過ぎず、試合全体の戦略ではない。サッカーのピッチはそれを行なうには広すぎる」と警鐘を鳴らす。
その対比としてラームが評価するのが、スペインのスタイルだ。「スペイン人は、ボール志向の守備、明確な役割分担、そして相手陣内へ押し込む組織的なコンビネーションという考え方に忠実であり続けている」と語り、「選手は協働し、状況を把握し、適切な瞬間に群れの動きに導かれて1対1へ入ることが求められる」と、その高度な認知的要求を説明した。
さらに、その優位性は結果にも表われているとして、「今世紀に入ってスペインのクラブは欧州カップで24タイトルを獲得。イングランドの11、イタリアの5、ドイツの4を大きく上回る」と指摘。「過去12年のうち、ラ・リーガ勢は7回もCLを制し、今季もレアル・マドリー、バルセロナ、アトレティコ・マドリーと、最多のチームを準々決勝に送り込んでいる」と具体例を挙げた。
また、指導者の面でもスペインの影響力は顕著で、「欧州カップの16強にはスペイン人監督が11人と、これは他国の倍以上の数字だ。旋風を巻き起こしているのは、常にスペイン人である」と評価。シャビ・アロンソやウナイ・エメリ、セスク・ファブレガスらの近年の活躍を例に、「コモではセスクが、イタリア・サッカーすら変えつつある」と言及している。
スペイン代表を率いるルイス・デ・ラ・フエンテについても、「各年代別代表で欧州選手権を制し、2024年にはA代表でもEURO優勝を果たした。過去5回の大会で3回はスペインが制している。1970年代から80年代にかけてのドイツでさえ、これほどの支配は成し遂げられなかった。ガリー・リネカーが『結局、最後はドイツが勝つ』と語った際に指していたのは、この時代のこと。しかし、今は違う。スペインの時代だ。今夏のW杯も、デ・ラ・フエンテ率いるチームは当然ながら優勝候補の一角に入る」と高く評した。
その一方で、イタリアに対しては厳しい見方を示す。「スペイン流はイタリア流に取って代わった。イタリアは今も監督を輸出しているが、チームは勝てなくなっている」と断じ、「強度、献身性、ダイナミズム、フィジカル、主体性が欠けており、もはや世界的な選手がいない」と指摘。実績面でも低迷は明らかで、「今季のCL準々決勝にイタリア勢はいない。代表チームも、W杯出場を3大会連続で逃した」として、「イタリアは取り残された」と結論づけている。
さらにラームは、自国ドイツへの警告も忘れない。「もしドイツが、今のまま進むようであれば、イタリアの二の舞になりかねない」と指摘し、「多くの守備者が再び相手を“トイレまで追う”ようになっている」と現状を憂慮。ヴァンサン・コンパニ監督率いるバイエルンにも触れ、「マンマークは時に成功するが、ブンデスリーガではミスが罰せられない」と指摘する。
そして最後に、「大きな目標を達成するには、明確なスタイルが必要だ」とした上で、「ポゼッションでの守備からマンマークへの移行を、コントロールを失わずに実現できれば、それは究極の成果だが、これまでにそれを成し遂げた監督はいない」と結んでいる。
構成●THE DIGEST編集部
【動画】美しく流れるようなカウンター攻撃! 三笘薫が決勝ゴール
キャプテンとしてチャンピオンズリーグ(CL)、ワールドカップを勝ち取った偉大なレジェンドはまず、ドイツでかつて一般的だったマンツーマン守備について、「相手をトイレの中まで追いかけろ!――それがマンマークの合言葉だった。守備者はあまり深く考える必要はなかった」と指摘し、「このレトロな戦術が、アタランタが2023-24シーズンにヨーロッパリーグを制して以来、予想外の復活を遂げている」と現状を説明している。
しかし一方で、その有効性には明確な限界があるとし、「個の質で大きく上回る相手に対して、マンツーマンでは勝ち目はない。アタランタは今季のCLラウンド・オブ16のバイエルン戦でそれを痛感した。バイエルンは広大なスペースを得て、2試合で10ゴールを奪ったが、このレベルでこれほど一方的な試合は珍しい」と強調。「ブンデスリーガでも再びマンマークが増えているが、これはあくまで短期的な奇襲策に過ぎず、試合全体の戦略ではない。サッカーのピッチはそれを行なうには広すぎる」と警鐘を鳴らす。
その対比としてラームが評価するのが、スペインのスタイルだ。「スペイン人は、ボール志向の守備、明確な役割分担、そして相手陣内へ押し込む組織的なコンビネーションという考え方に忠実であり続けている」と語り、「選手は協働し、状況を把握し、適切な瞬間に群れの動きに導かれて1対1へ入ることが求められる」と、その高度な認知的要求を説明した。
さらに、その優位性は結果にも表われているとして、「今世紀に入ってスペインのクラブは欧州カップで24タイトルを獲得。イングランドの11、イタリアの5、ドイツの4を大きく上回る」と指摘。「過去12年のうち、ラ・リーガ勢は7回もCLを制し、今季もレアル・マドリー、バルセロナ、アトレティコ・マドリーと、最多のチームを準々決勝に送り込んでいる」と具体例を挙げた。
また、指導者の面でもスペインの影響力は顕著で、「欧州カップの16強にはスペイン人監督が11人と、これは他国の倍以上の数字だ。旋風を巻き起こしているのは、常にスペイン人である」と評価。シャビ・アロンソやウナイ・エメリ、セスク・ファブレガスらの近年の活躍を例に、「コモではセスクが、イタリア・サッカーすら変えつつある」と言及している。
スペイン代表を率いるルイス・デ・ラ・フエンテについても、「各年代別代表で欧州選手権を制し、2024年にはA代表でもEURO優勝を果たした。過去5回の大会で3回はスペインが制している。1970年代から80年代にかけてのドイツでさえ、これほどの支配は成し遂げられなかった。ガリー・リネカーが『結局、最後はドイツが勝つ』と語った際に指していたのは、この時代のこと。しかし、今は違う。スペインの時代だ。今夏のW杯も、デ・ラ・フエンテ率いるチームは当然ながら優勝候補の一角に入る」と高く評した。
その一方で、イタリアに対しては厳しい見方を示す。「スペイン流はイタリア流に取って代わった。イタリアは今も監督を輸出しているが、チームは勝てなくなっている」と断じ、「強度、献身性、ダイナミズム、フィジカル、主体性が欠けており、もはや世界的な選手がいない」と指摘。実績面でも低迷は明らかで、「今季のCL準々決勝にイタリア勢はいない。代表チームも、W杯出場を3大会連続で逃した」として、「イタリアは取り残された」と結論づけている。
さらにラームは、自国ドイツへの警告も忘れない。「もしドイツが、今のまま進むようであれば、イタリアの二の舞になりかねない」と指摘し、「多くの守備者が再び相手を“トイレまで追う”ようになっている」と現状を憂慮。ヴァンサン・コンパニ監督率いるバイエルンにも触れ、「マンマークは時に成功するが、ブンデスリーガではミスが罰せられない」と指摘する。
そして最後に、「大きな目標を達成するには、明確なスタイルが必要だ」とした上で、「ポゼッションでの守備からマンマークへの移行を、コントロールを失わずに実現できれば、それは究極の成果だが、これまでにそれを成し遂げた監督はいない」と結んでいる。
構成●THE DIGEST編集部
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