セリエAのサッカーが「突然」変わり始めている。
セリエA=イタリアサッカーといえば、勝つよりも負けないことに強くこだわる守備的なスタイルが主流で、得点よりも失点回避、リスクを嫌うがゆえにプレー選択が消極的かつ安全方向に向かいがち、結果的に決定機が少なくなるため0-0や1-0に代表されるロースコアゲームがやたらと多い、というのがこれまでの定説であり、また実情でもあった。
とりわけ昨シーズンは、1試合平均得点が5大リーグで最低(他の4リーグが2.7前後なのに対して2.43)、しかも過去33年間で最も少ないというロースコアぶり。20チーム中14チームが3バックのシステムを採用し、その多くがボール支配を放棄してベタ引きし、攻撃はカウンターとロングボールとセットプレーが頼り、というサッカーに終始していた。4-2-3-1、4-3-3の能動的なスタイルが主流になっている5大リーグにあって、セリエAだけが別世界と言ってもよかった。
ところが、である。今シーズンのセリエAは、第5節まで消化した現時点で1試合平均得点が2.90と、昨シーズンと比較して19.3%も増加。シュート数も同24.6から29.1に、18.5%増となっている。そしてPKの数が12から5へと半分以下に減ったにもかかわらず、0-0の試合は50試合中ゼロ。昨シーズンと比べると決定機も得点数も多い、よりスペクタクルで攻撃的なリーグへと変貌しつつあるのだ。
その理由は大きく2つある。ひとつは、今シーズンから審判の判定基準が大きく変わり、軽い接触程度ではファウルを取らなくなっただけでなく、VARによる介入の頻度も大きく下がり、さらに時間稼ぎに対する罰則が厳しくなって、アクチュアル・プレーイング・タイム(APT=実効プレー時間)が大きく延びたこと。1試合平均のファウルは26.3から22.6に13.8%減少し、VARによるオンフィールドレビューは10回から1回へと激減した。
その結果、ATPは昨シーズンの54分05秒から59分31秒に、およそ5分半も長くなった。これまでファウルの笛やVARの介入、そしてあらゆる種類の時間稼ぎによってブツ切れになっていた試合が、ずっとスムーズにさくさくと流れるようになった。審判部門の責任者ダニエレ・オルサート(元国際主審)によれば、ファウルの笛の数はプレミアリーグのそれよりも少なくなっているという。
もうひとつ、おそらくそれ以上に大きいのが、上位チームはもちろん、それ以上に中~下位チームの戦術的な振舞いが、昨シーズンと比べて明らかに能動的かつ攻撃的な傾向を強めていることだ。それを象徴するのが、フロジノーネ、ヴェネツィア、モンツァという昇格組の3チーム。中でもフロジノーネは、開幕戦でユベントスを苦しめながら0-1で惜敗、そして続く4試合で3勝を挙げ勝点10で6位に躍進と、序盤戦最大のサプライズとなっている。
チームを率いる56歳のマッシミリアーノ・アルビーニ監督は、プロ選手経験を持たずアマチュアリーグの監督から始めてセリエC、セリエBでキャリアを重ねてきた叩き上げ。ダイナミックかつアグレッシブなスタイルが身上で、ボール支配率(41.5%)はリーグ下位に留まっているにもかかわらず、シュート数(16.8)はリーグ6位タイ、ここまで9得点はリーグ4位タイと、一旦ボールを持った時には一気に敵陣に進出して危険な状況を作り出す(※データは断りがない限り1試合平均の数字)。
象徴的なのは、プレス強度の指標であるPPDA(敵陣での守備機会1回あたり相手に許したパス本数の平均)で9.5とリーグ最少の数字を叩き出しているところ。アグレッシブなプレスでボールを奪っては、素早く縦に展開して敵陣に進出し、そのまま一気に人数をかけて攻め切る姿勢が、データにもはっきりと表れている。
4-2-3-1の前4人はもちろん、右SBのアントニー・オヨノ、左SBのガブリエーレ・ブラカリア、さらにはボランチのジャコモ・カローも積極的にゴール前に進出してフィニッシュに絡んでいく思い切りの良さが大きな特徴だ。最大の得点源は、ここまで5試合で4ゴールを挙げているイタリアU-21代表のアントニオ・ライモンド。組み立てにはあまり絡まず最前線でひたすらシュートチャンスを待ち続ける生粋のストライカーで、近年のイタリアにはあまりいないタイプだけに、ブレイクが期待されるところだ。
セリエA=イタリアサッカーといえば、勝つよりも負けないことに強くこだわる守備的なスタイルが主流で、得点よりも失点回避、リスクを嫌うがゆえにプレー選択が消極的かつ安全方向に向かいがち、結果的に決定機が少なくなるため0-0や1-0に代表されるロースコアゲームがやたらと多い、というのがこれまでの定説であり、また実情でもあった。
とりわけ昨シーズンは、1試合平均得点が5大リーグで最低(他の4リーグが2.7前後なのに対して2.43)、しかも過去33年間で最も少ないというロースコアぶり。20チーム中14チームが3バックのシステムを採用し、その多くがボール支配を放棄してベタ引きし、攻撃はカウンターとロングボールとセットプレーが頼り、というサッカーに終始していた。4-2-3-1、4-3-3の能動的なスタイルが主流になっている5大リーグにあって、セリエAだけが別世界と言ってもよかった。
ところが、である。今シーズンのセリエAは、第5節まで消化した現時点で1試合平均得点が2.90と、昨シーズンと比較して19.3%も増加。シュート数も同24.6から29.1に、18.5%増となっている。そしてPKの数が12から5へと半分以下に減ったにもかかわらず、0-0の試合は50試合中ゼロ。昨シーズンと比べると決定機も得点数も多い、よりスペクタクルで攻撃的なリーグへと変貌しつつあるのだ。
その理由は大きく2つある。ひとつは、今シーズンから審判の判定基準が大きく変わり、軽い接触程度ではファウルを取らなくなっただけでなく、VARによる介入の頻度も大きく下がり、さらに時間稼ぎに対する罰則が厳しくなって、アクチュアル・プレーイング・タイム(APT=実効プレー時間)が大きく延びたこと。1試合平均のファウルは26.3から22.6に13.8%減少し、VARによるオンフィールドレビューは10回から1回へと激減した。
その結果、ATPは昨シーズンの54分05秒から59分31秒に、およそ5分半も長くなった。これまでファウルの笛やVARの介入、そしてあらゆる種類の時間稼ぎによってブツ切れになっていた試合が、ずっとスムーズにさくさくと流れるようになった。審判部門の責任者ダニエレ・オルサート(元国際主審)によれば、ファウルの笛の数はプレミアリーグのそれよりも少なくなっているという。
もうひとつ、おそらくそれ以上に大きいのが、上位チームはもちろん、それ以上に中~下位チームの戦術的な振舞いが、昨シーズンと比べて明らかに能動的かつ攻撃的な傾向を強めていることだ。それを象徴するのが、フロジノーネ、ヴェネツィア、モンツァという昇格組の3チーム。中でもフロジノーネは、開幕戦でユベントスを苦しめながら0-1で惜敗、そして続く4試合で3勝を挙げ勝点10で6位に躍進と、序盤戦最大のサプライズとなっている。
チームを率いる56歳のマッシミリアーノ・アルビーニ監督は、プロ選手経験を持たずアマチュアリーグの監督から始めてセリエC、セリエBでキャリアを重ねてきた叩き上げ。ダイナミックかつアグレッシブなスタイルが身上で、ボール支配率(41.5%)はリーグ下位に留まっているにもかかわらず、シュート数(16.8)はリーグ6位タイ、ここまで9得点はリーグ4位タイと、一旦ボールを持った時には一気に敵陣に進出して危険な状況を作り出す(※データは断りがない限り1試合平均の数字)。
象徴的なのは、プレス強度の指標であるPPDA(敵陣での守備機会1回あたり相手に許したパス本数の平均)で9.5とリーグ最少の数字を叩き出しているところ。アグレッシブなプレスでボールを奪っては、素早く縦に展開して敵陣に進出し、そのまま一気に人数をかけて攻め切る姿勢が、データにもはっきりと表れている。
4-2-3-1の前4人はもちろん、右SBのアントニー・オヨノ、左SBのガブリエーレ・ブラカリア、さらにはボランチのジャコモ・カローも積極的にゴール前に進出してフィニッシュに絡んでいく思い切りの良さが大きな特徴だ。最大の得点源は、ここまで5試合で4ゴールを挙げているイタリアU-21代表のアントニオ・ライモンド。組み立てにはあまり絡まず最前線でひたすらシュートチャンスを待ち続ける生粋のストライカーで、近年のイタリアにはあまりいないタイプだけに、ブレイクが期待されるところだ。




