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海外サッカー

【現地発コラム】イタリア代表、ベルギーに敗戦→トルコに大勝「大幅に説得力を増したアッズーリのパフォーマンス」第2次マンチーニ政権が幕開け

片野道郎

2026.09.30

4-1と大勝したトルコ戦のスタメン。後列左からスカルビーニ、フランチェスコ・ピオ・エスポージト、カヨデ、ルッジェーリ、ドンナルンマ、バストーニ。前列左からトナーリ、フラッテージ、ラスパドーリ、ファジョーリ、セバスティアーノ・エスポージト。(C)Getty Images

4-1と大勝したトルコ戦のスタメン。後列左からスカルビーニ、フランチェスコ・ピオ・エスポージト、カヨデ、ルッジェーリ、ドンナルンマ、バストーニ。前列左からトナーリ、フラッテージ、ラスパドーリ、ファジョーリ、セバスティアーノ・エスポージト。(C)Getty Images

 この代表ウィークに開幕したUEFAネーションズリーグ、ロベルト・マンチーニ監督が3年ぶりに復帰したイタリア代表は、9月25日の第1戦でベルギーにホームで0-2の完敗を喫したものの、28日のトルコ戦はアウェーで4-1の大勝と、明暗相半ばするスタートを切った。

 この2試合、結果はもちろん内容もまったく正反対。ベルギー戦は、ハイプレスが空回りしただけでなく、中盤でボールを失うたびに鋭いカウンターを許して失点のピンチを重ね、何もできないまま劣勢に立たされて前半半ばに失点。後半に逆襲の兆しを見せたところでまたカウンターから失点して意気消沈という、かなり情けない試合だった。ところがトルコ戦は、アウェーで強い雨とぬかるんだピッチという劣悪なコンディションにもかかわらず、序盤からボールを支配して主導権を握りCKから先制すると、4~5人がショートパスをかわして局面を打開する美しい攻撃からさらに2得点。最初の30分で試合を決めた。

 これだけ対照的な2試合に対しては、イタリアのマスコミも当惑気味。ベルギー戦の後には、不甲斐ない敗戦を受けてマンチーニ監督、そしてとりわけ中盤でのパスミスで先制点の原因を作った初招集の20歳アレッサンドロ・ロマーノに非難の矢が降り注いだ。しかしトルコ戦で快勝すると、まるでそれが何かの間違いだったかのように賞賛の嵐一色。この「手のひら返し」自体は、スポーツマスコミに典型的な振舞いではあるが、イタリア代表のパフォーマンス自体が「どちらが本当のイタリア代表なのか」と思わせるほどに激変したこともまた事実だ。

 マンチーニ監督は、「第2次政権」の幕開けとなったこの足かけ3週間にわたる代表ウィークに、初招集の若手9人を含む34人を招集した。今回予定されている4試合のうち最初の2試合には、すでに十分な経験のある中堅クラスを主体としながら、そこに初招集の若手も組み込んだ、ベストメンバーというよりはテスト色の濃いフォーメーションで臨んでいる。就任後はじめての招集機会、しかもW杯予選敗退後の再建に向けた第一歩という状況を考えれば、そのアプローチ自体は理に適ったものと言えるだろう。

 ベルギー戦のスタメンは以下のような顔ぶれだった。
GK
ジャンルイジ・ドンナルンマ(マンチェスター・シティ)

DF
ジョバンニ・ディ・ロレンツォ(ナポリ)
ジャンルカ・マンチーニ(ローマ)
ディエゴ・コッポラ(パリFC)
リッカルド・カラフィオーリ(アーセナル)

MF
ニコロ・バレッラ(インテル)
アレッサンドロ・ロマーノ(カリアリ)
サンドロ・トナーリ(トッテナム)

FW
モイゼ・ケーン(コモ)
フランチェスコ・ピオ・エスポージト(インテル)
ニコロ・カンビアーギ(ボローニャ)

 システムは、EURO2020を制した第1次政権でも基本だった4-3-3。主将であり絶対的な守護神たるドンナルンマの前を固める4バックは、アレッサンドロ・バストーニが出場停止(W杯予選プレーオフで退場)だったが、その穴を埋めてもおかしくなかったカラフィオーリをCBではなく左SBで起用し、ベテランのマンチーニと若手コッポラの右利きCB2人を中央に配する構成となった。右SBはリーダー格の1人であるディ・ロレンツォだ。

 
 スタメンで最も注目されたのが、アンカーに抜擢されたロマーノだった。16歳からローマのアカデミーで育ち、セリエBのスペツィアを経て今シーズンはカリアリでプレーする20歳。U-20までは二重国籍を持つスイス代表でプレーしてきたが、今回A代表でイタリアに鞍替えしたばかり。初招集の初戦に初先発という抜擢だったこともあり、マスコミでは「イタリア版ロドリの誕生か」とまで持て囃された。

 前線は、右ウイングにセンターフォワードが本職のケーンを置き、CFにはDFを背負って縦パスを収められる基準点型の若手ピオ・エスポージト、左には招集メンバー中唯一のウイングらしいウイングであるカンビアーギが起用された。右利きで縦のスピードがあるケーンの右ウイング起用は、EURO2020で決定的な違いを作り出したフェデリコ・キエーザ(リバプール)を想起させるもの。

 しかしこの試合、ベルギーのビルドアップに対して、左インサイドハーフのトナーリが前にジャンプして相手の右CBにプレッシャーをかけるハイプレスがうまく機能せず、簡単に回避されて自陣までボールを運ばれてしまう場面が続き、イタリアは守勢に回る苦しい展開となる。

 ボールを持っても、中央に有効なパスコースが作れないためスムーズに前進できず、中盤で行き詰まるか、ロングボールに逃げるかのどちらか。自らにボールを集めてビルドアップの中核を担うことが期待されたロマーノは、プレーが消極的で「レジスタ」として機能するところまでいかず、逆に20分、不用意な横パスを相手に奪われてカウンターを許し、先制点の原因を作るミスを犯して自らを追い込む苦いデビュー戦となった。

 まだ周囲との連携を確立していないロマーノを中心に据えたことで、中盤を構成する残り2人、経験豊富なバレッラとトナーリも、ポジショニングやプレー選択が手探りになり、本来の持ち味は見られない。前線も、右の大外で幅を取るケーンは試合の中に入れず、中央のピオ・エスポージトはDFを背負って縦パスやロングボールを収めるデュエルだけで手一杯。左のカンビアーギは、何度か前を向いてドリブルで仕掛ける場面を得るも、相手を抜き切って違いを作りだすには至らずと、それぞれ精彩を欠くパフォーマンスに終始した。

 後半、ベルギーがやや受けに回ったこともあり、最初の20分あまりはイタリアが押し返す展開になった。ところが69分、敵ゴール前まで押し込んだところからボールを失ってロングカウンターを喫し、単独で抜け出したドディ・ルケバキオ(ベンフィカ)にそのまま決められて0-2。これが事実上の決着となった。

 
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