戦前の注目ポイントの一つがレアル・マドリーの右サイドの人選だったが、ジョゼ・モウリーニョ監督の出した答えはMFアルダ・ギュレルだった。ダブルボランチの一角には、先制点を決めるなど存在感を示した4日前のチャンピオンズリーグ・ライプツィヒ戦に続き、MFベルナルド・シウバを起用。右サイドバックには、チームが巻き返しを見せる直近4数試合連続でこのポジションを務めるMFフェデリコ・バルベルデが入った。
第1期政権時のCBを本職とするペペのアンカー起用に代表されるように、強豪との一戦では警戒を強めて相手の長所を抑える采配が特徴の指揮官が、ボール保持能力に長けたB・シウバとギュレルを同時にピッチへ送り出した。
敵将のフリックは虚を突かれた。『EL PAÍS』の試合レポートには、「フリックはマドリーが前からプレスをかけてくると想定しておらず、ましてやボールポゼッションで対抗するにとどまらず、パスを繋いで保持の時間を作りにくるとは計算していなかった。MFオーレリアン・チュアメニの相棒にB・シウバを据えたモウリーニョの強気なダブルボランチの人選は、パスワークの中心であるべきMFロドリとMFペドリから判断の冴えを鈍らせた」と記されている。
バルサは攻撃を前提に守備戦術を構築するチームだ。攻撃の歯車の狂いは守備面にも波及した。『AS』のハビエル・シジェス記者は「ミドル・ローブロックで構えるマドリーに対し、バルサは自分たちらしさを失って攻め急ぎ、判断ミスが目立った。その落ち着きのなさがプレスの連動性を乱し、セカンドボールへの反応を遅らせた。不用意な形でボールを失うため即時奪回もままならず、抜け出せない悪循環に陥った」と分析している。
87分、1-1の均衡を破られた2失点目は象徴的な場面だった。FWガブリエウ・ジェズスがボールを奪われ、前がかりになったチームは隙を突かれる。ボールを持ったMFジュード・ベリンガムに囲い込みをかけるも個人技で外され、釣り出されたDFジェラール・マルティンもギュレルにパスを許して守備が崩れた。
そのパスに呼応して背後へ抜け出したカマビンガに対し、対応を迫られたDFパウ・クバルシもかわされる。GKジョアン・ガルシアもシュート阻止を試みたが折り返され、DFジョアン・カンセロの寄せの甘さも重なり、FWキリアン・エムバペに無人のゴールへ流し込まれた。
フリック・バルサが大一番の終盤、トランジションから手痛い失点を喫するのは一度や二度ではない。OBのフランシスコ・ホセ・カラスコ氏は、スコアが拮抗した試合において、終盤の戦い方の改善が不可欠だと指摘する。
ライン間が間延びしたバルサに対し、マドリーは選手間の距離感と配置が適切だった。ギュレルとFWヤン・ディオマンデの両ウイングも献身的にプレスバックし、チュアメニ、DFディーン・ハイセン、DFイブライマ・コナテの安定した対応や、DFマルク・ククレジャによるFWラミネ・ヤマル封じを際立たせた。前述の得点場面のように、局面で個の能力を発揮しつつ、それを組織と規律が支えた。
『EL PAÍS』のラモン・ベサ記者は「カンプ・ノウで生まれた新たなマドリーは、より理に適った競争力を身につけ、国内で敵なしに見えたバルサの進撃を食い止めてみせた」と評した。
敗れれば勝点が9差に開くところだったが、3ポイント差に縮めた。「勝点9差に開いていれば重かった。6ならイーブン。だが3差となれば状況が変わってくる。勝ち方も重要だ。運で勝つこともあるが、掴むべくして掴んだ勝利だった。1-1になっても冷静さを失わなかった」と試合後にモウリーニョは振り返った。
序盤に2敗を喫し、チームの周りで批判が飛び交う状況下、見出した最適解を大一番でも継続採用し、敵将との采配対決を制した。
文●下村正幸
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第1期政権時のCBを本職とするペペのアンカー起用に代表されるように、強豪との一戦では警戒を強めて相手の長所を抑える采配が特徴の指揮官が、ボール保持能力に長けたB・シウバとギュレルを同時にピッチへ送り出した。
敵将のフリックは虚を突かれた。『EL PAÍS』の試合レポートには、「フリックはマドリーが前からプレスをかけてくると想定しておらず、ましてやボールポゼッションで対抗するにとどまらず、パスを繋いで保持の時間を作りにくるとは計算していなかった。MFオーレリアン・チュアメニの相棒にB・シウバを据えたモウリーニョの強気なダブルボランチの人選は、パスワークの中心であるべきMFロドリとMFペドリから判断の冴えを鈍らせた」と記されている。
バルサは攻撃を前提に守備戦術を構築するチームだ。攻撃の歯車の狂いは守備面にも波及した。『AS』のハビエル・シジェス記者は「ミドル・ローブロックで構えるマドリーに対し、バルサは自分たちらしさを失って攻め急ぎ、判断ミスが目立った。その落ち着きのなさがプレスの連動性を乱し、セカンドボールへの反応を遅らせた。不用意な形でボールを失うため即時奪回もままならず、抜け出せない悪循環に陥った」と分析している。
87分、1-1の均衡を破られた2失点目は象徴的な場面だった。FWガブリエウ・ジェズスがボールを奪われ、前がかりになったチームは隙を突かれる。ボールを持ったMFジュード・ベリンガムに囲い込みをかけるも個人技で外され、釣り出されたDFジェラール・マルティンもギュレルにパスを許して守備が崩れた。
そのパスに呼応して背後へ抜け出したカマビンガに対し、対応を迫られたDFパウ・クバルシもかわされる。GKジョアン・ガルシアもシュート阻止を試みたが折り返され、DFジョアン・カンセロの寄せの甘さも重なり、FWキリアン・エムバペに無人のゴールへ流し込まれた。
フリック・バルサが大一番の終盤、トランジションから手痛い失点を喫するのは一度や二度ではない。OBのフランシスコ・ホセ・カラスコ氏は、スコアが拮抗した試合において、終盤の戦い方の改善が不可欠だと指摘する。
ライン間が間延びしたバルサに対し、マドリーは選手間の距離感と配置が適切だった。ギュレルとFWヤン・ディオマンデの両ウイングも献身的にプレスバックし、チュアメニ、DFディーン・ハイセン、DFイブライマ・コナテの安定した対応や、DFマルク・ククレジャによるFWラミネ・ヤマル封じを際立たせた。前述の得点場面のように、局面で個の能力を発揮しつつ、それを組織と規律が支えた。
『EL PAÍS』のラモン・ベサ記者は「カンプ・ノウで生まれた新たなマドリーは、より理に適った競争力を身につけ、国内で敵なしに見えたバルサの進撃を食い止めてみせた」と評した。
敗れれば勝点が9差に開くところだったが、3ポイント差に縮めた。「勝点9差に開いていれば重かった。6ならイーブン。だが3差となれば状況が変わってくる。勝ち方も重要だ。運で勝つこともあるが、掴むべくして掴んだ勝利だった。1-1になっても冷静さを失わなかった」と試合後にモウリーニョは振り返った。
序盤に2敗を喫し、チームの周りで批判が飛び交う状況下、見出した最適解を大一番でも継続採用し、敵将との采配対決を制した。
文●下村正幸
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