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Jリーグ・国内

Jリーグ特任理事にサプライズ選出された、格闘技界の風雲児“アンディ秦”とは何者か

川原崇(THE DIGEST編集部)

2020.04.27

Jリーグ特任理事に就任した秦氏。強力な“助っ人”が加わった。(C)ONE Championship

Jリーグ特任理事に就任した秦氏。強力な“助っ人”が加わった。(C)ONE Championship

「まさか選ばれるとは思っていなかったんで、正直ビックリしました。でも、嬉しかったですね。必要としてくれたんだなって。そこは本当に、光栄に感じました」

 格闘技界の風雲児はそう言って、少し照れくさそうに笑った。

 3月12日、Jリーグは2020年度の理事会メンバーを発表した。これまでもサッカー界以外の分野から広く人材を募ってきたJリーグ理事会だが、今回はまたユニークな人物が名を連ねている。議決権を持たないものの、会議でなんら制約なく質疑応答ができる「特任理事」に、格闘技団体ONE Championship Japan(以下ONE)の代表を務める秦アンディ英之氏が初選出されたのだ。

「昨年の8月でしたね。選考委員会の方が来てくださって、候補に挙がっているから話を訊かせてほしいと。経歴や考えなどをいろいろお話ししました。で、どうなったんだろうと思っていたら、今年の2月になって就任打診の連絡が急に来たんですよ。驚きました!」

 とはいえ、新特任理事は完全な門外漢ではない。

 1972年生まれの秦氏は、かつてアメリカンフットボールで日本一にも輝いた元アスリートだ。明治大学卒業後にソニーへ入社して本業に従事するかたわら、社会人チームであるアサヒビールシルバースターで活躍。1999年、現役生活にピリオドを打つと、ここからサッカー界との関わりを一気に強めていった。

 
 ちょうど、ソニーがワールドカップの大会公式スポンサーを務めていた時期だ。社のブランディングを推進する部署に所属していた秦氏はグローバルな広告戦略を担い、それこそ世界中を駆けずり回った。FIFA(国際サッカー連盟)を筆頭に国内外のサッカー・スポーツ関係者との人脈を大いに広げ、知己を深めたのだ。2013年にソニーを退職すると、日本法人の社長を務めていたレピュコム・ジャパンが世界最大手の調査会社ニールセンに買収されたのを受け、今度は同社の日本法人社長兼北アジア地域代表に就任した。

 その期間、秦氏はJリーグとの距離をよりいっそう縮める。外部スタッフのマーケティング委員として辣腕を振るい、クラブ単位では鹿島アントラーズのサポートなども担当。サッカー育成年代の指導者や新旧の日本代表選手らとの親交も深めていった。

 そして2018年末、ONEの日本代表取締役社長に転身。秦氏は「なにより、ビジネスの新鮮さに惹かれたんです。日本のスポーツが日本以外になかなか進出できないなかで、なぜ格闘技はアジアでこれだけ広がったのかを勉強してみたい。その欲求からでしたね」と、当時を振り返る。
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