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「比類なき」アシスト&「無謀」なラフプレー…久保建英に欧州メディアは賛否両論

THE DIGEST編集部

2020.10.20

63分から出場した久保は決勝点を演出したが、その後に警告2枚で退場処分に。(C)Getty Images

 10月18日(現地時間)、ラ・リーガ第6節でビジャレアルはバレンシアとのダービーマッチを2-1で制し、首位ソシエダと同勝点(11)の2位へ浮上した。

 試合を決したのは、69分に昨季まで9年間を過ごした古巣相手に鮮やかなミドルを叩き込んだダニエル・パレホだったが、これを演出したのは、交代出場の久保建英である。

 6試合連続のベンチスタートとなった19歳の日本人は、それでも過去5試合と比べてかなり早い63分にサムエル・チュクウェゼに代わってピッチに登場。その6分後、無理な体勢からヒールでパレホにパスを通して、ファインゴールを引き出した。

 スペインの日刊紙『AS』はこのプレーを、「マンマミーア、クボ! 比類なきアシスト」と動画付きで称賛した他、久保の所有元であるレアル・マドリーの専門メディア『Defensa Central』は「天才のアシストによるリサイタル」「久保のヒールアシストのおかげで、ウナイ・エメリのチームは試合後に微笑んだ」と、こちらも賛辞を送っている。

 もっとも、『Defensa Central』といえば、久保をスタメンで使わないエメリ監督を厳しく糾弾し続けているメディアだけに、今回も「久保は23分間でエメリの間違いを証明した」と途中起用を皮肉ることは忘れなかった。
 
 対する指揮官は試合後の会見で、久保を「私の彼に対する要求は高い。クボは良い選手であり、確実に進化している。今日は30分プレーし、その中で我々はゴールを奪うことができた。しかし、彼は守備面でもっと働かなければならない」と評している。

 攻撃面では結果を出した久保だが、試合全体の評価が厳しいものとなったのは、やはり2度の警告を受けて退場になったことが大きい。72分に振り上げた足がホセ・ルイス・ガヤの側頭部にヒットしたラフプレーについて、『MARCA』は「意図的ではなかったが…無謀な日本人」と厳しかった。

 ただ、アディショナルタイムのカルロス・ソレールへのタックルについては、判定を疑問視する声も少なくなく、エメリ監督も「全く正常ではない。この件については訴えるつもりだ」と、リーグに対して退場取り消しを求めることを明らかにしている。

 一方、全く異なる視点からこの「バレンシア・ダービー」に注目していたのが、韓国のスポーツメディア『Inter Football』。年齢、利き足、攻撃面で高い才能を持つこと、そしてスペインのクラブの育成組織に所属していたことなど、共通点の多い久保とイ・ガンインの競演を、同メディアは「ミニ韓日対決」として期待していたようだ。

 しかし、久保のベンチスタートは予想通りだったものの、ここまで3試合でスタメンに名を連ねていたイ・ガンインまでもがメンバーから外れ、しかもこちらは最後まで出番が訪れることはなかった。

 それゆえ、同メディアは「バレンシアはパレホにゴールを奪われ、終盤になってもイ・ガンインを起用する余裕がなかった。久保は意欲的にプレーしたが、これが仇になって退場となった。2人の対決もなく、全てにおいて物足りなさが残った」とこの一戦を評している。

構成●THE DIGEST編集部
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【動画】スペイン紙が「マンマミーア、クボ! 比類なきアシスト」と紹介した久保建英のヒールパス