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「無視していたクラブへの復讐は…」久保建英、古巣対決での“短すぎる”プレー時間に現地メディアはシビアな評価

THE DIGEST編集部

2021.05.03

試合終盤にチャンスを得た久保だが、わずか6分間とアディショナルタイムだけでは仕事ができなかった。(C)Getty Images

 5月2日(現地時間)、ラ・リーガ第34節が行なわれ、ヘタフェはビジャレアルに0-1の敗北を喫した。

 敵地に乗り込んだ"アスロナス"は、ボールポゼッションでは大幅に上回られながらも、自慢の守備力でこれをカバーし、逆に攻撃では相手よりも良い形を作った。しかし、79分にジェレミ・ピノにマーカーが簡単にかわされてしまい、痛恨の失点。残り時間での反撃はならず、残留争いに向けての貴重な勝点を稼ぐことはできなかった。

 対戦相手のビジャレアルといえば、久保建英が今冬まで在籍したクラブであり、彼にとっては古巣対決だった。

 戦前は「ビジャレアルは、彼らがよく知っている選手と対峙しなければならない」(ビジャレアルの専門メディア『VILLARREAL USA』)、「不遇への復讐の機会を渇望する久保は、ウナイ・エメリが間違っていたことを示したいと思っている」(バレンシアのスポーツ専門メディア『NOSTRESPORT』)、「エメリの前でやる気が引き出されるだろう」(スポーツ紙『AS』)など、その"因縁"に注目するメディアも少なくなかった。
 
 しかし、ホセ・ボルダラス監督から与えられた時間は、わずか6分間とアディショナルタイムだけ……。1点を追う終盤に、かつての本拠地のピッチへ送り出された19歳は、セットプレーから正確なパスで味方のフィニッシュを引き出したり、アディショナルタイムにも相手DFラインの裏に惜しい浮き球のパスを入れたりするなど、効果的なプレーも見せたが、いずれもゴールには結び付かなかった。

『AS』は「右サイドからの1対1の場面で、良い場面を2度作ってみせた」と評価した後に、「プレー時間が短かった」ことを強調。そのため、同じスポーツ紙の『MARCA』同様、採点はつかなかった。一方、日刊紙『El Pais』は「シーズン前半戦で自身を"無視"していたクラブへの復讐のためにプレーしたが、それが気に留められることはなかった」と報じたが、他に前所属チームとの因縁に言及する現地メディアはほとんどなかった。

 ビジャレアルでリーガでの出場時間が短いことを不満に示してヘタフェに編入したものの、新天地でも状況は変わっていない(むしろ悪化?)ことを示しただけでなく、かつて自身の立場を脅かした18歳の新鋭ピノに鮮やかな決勝ゴールを決められた。さらに今季前半戦には自身も主力として出場していたヨーロッパリーグの決勝進出に王手をかけ、このヘタフェ戦では一部主力を温存していたチームに勝点3を献上……。

 古巣相手の一戦で、幾重もの皮肉な事象に見舞われた久保だが、残り4試合で再びその存在感を強め、良い形でシーズンを締めることができるか。

構成●THE DIGEST編集部

【動画】久保が古巣ビジャレアルに挑んだ一戦のハイライトはこちら
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