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「俺にも分からねぇ」世界が震撼したFK弾を“皇帝”アドリアーノが独特回想!「マテラッツィは『クソガキ』って…」

THE DIGEST編集部

2021.05.14

カルチョで異彩を放ったアドリアーノが、インテル時代のゴラッソを振り返った。(C)Getty Images

 かつて「皇帝」の異名でカルチョを席巻したのが、元ブラジル代表FWのアドリアーノだ。

 ともすれば、自慢の体躯を利した利己的ともいえるパワフルなドリブルと卓越したシュートスキルで一世を風靡した点取り屋は、約5年間在籍したインテルでは、その豪快なプレーで守備の名手たちを蹂躙。その圧倒的な個人技でチームのセリエA4連覇に貢献した。

 アドリアーノが、その名を世界に轟かせたゴラッソの一つがある。2001年8月に敵地サンティアゴ・ベルナベウで開催されたレアル・マドリーとのフレンドリーマッチで決めた鮮烈なFK弾だ。

 1-1で迎えた89分に敵ゴール正面で得たFKで、これがインテルでのデビュー戦だったアドリアーノは、十分な助走を取ってから左足一閃。豪快に蹴り出されたボールは、まさに弾丸のようなスピードと勢いでゴール右上へと突き刺さった。

 敵の守護神イケル・カシージャスを棒立ちにさせた一発はどのようにして生まれたのか。他でもないアドリアーノ本人が米メディア『The Players Tribune』のインタビューで赤裸々に告白している。

「ベルナベウでのレアル・マドリー戦は一生忘れないね。僕らはボックスの外でフリーキックを得て、僕はボールに歩み寄った。もう『なぜ蹴っちゃいけないんだ? 俺しかいないだろ』って感じだ。その時、誰かが後ろから、『ダメだ!ダメだ! 俺が蹴るぞ』と言ってきたんだよ。そうさマテラッツィだよ。バカでかい意地悪野郎のね(笑)」

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 それでもアドリアーノはキッカーを譲らなかった。結局、当時のチームメイトだった元オランダ代表MFクラレンス・セードルフの介入もあって、あの豪快弾は誕生したのだ。

 かつてセレソンの10番を背負った男は、こうも振り返っている。

「俺はまだ入団したばかりでイタリア語をろくに話せなかった。だからマテラッツィが何を言っているかは分からなかった。それに『こいつに蹴らせてやれ』って言ってくれたのがセードルフで良かった。あの時は誰も彼に逆らえなかったからね。マテラッツィは『このクソガキは絶対にふかすぞ』って思っていたよ(笑)。

 どうやってあんなに激しくボールを蹴ったのかってよく聞かれるよ。でも、そのたびに俺は、『俺にも分かるわけねぇ! 左足で蹴って、あとは神様がやったんだ』って答えるんだ。なんていうか、ドンッ!って蹴ってトップコーナーって感じかな。でも本当に説明ができないんだよ」

 あの世界を震撼させた一撃を「たまたまそうなっただけさ」と振り返るアドリアーノは、やはり只者ではない。

構成●THE DIGEST編集部
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