海外サッカー

「ベストなオプションではない」現地ライターは久保建英マジョルカ移籍の噂を不安視。課題は「ポジションの意識」

THE DIGEST編集部

2021.08.10

五輪で能力の高さを見せつけた久保。マドリー復帰の足掛かりにするためにも、新天地での活躍は必須だが…。(C)Getty Images

 レアル・マドリーに所属する久保建英は、今季もレンタル先でプレーすることが濃厚だ。候補としては主にレアル・ソシエダとマジョルカの名前が挙がっているが、中でもスペイン1年目の19-20シーズンにも在籍したマジョルカが有力であると、スペイン紙『AS』などが報じている。

 将来のトップチーム定着に向け、レンタル先の選択は重要なポイントだ。昨季はビジャレアルとヘタフェで不完全燃焼に終わったこともあり、久保のレンタル先を巡っては、現地でも意見が分かれている。マジョルカ移籍反対派の一人で、レアル・マドリーに詳しいライターのフリドヤム・アロラ氏は、スポーツ専門サイト『FANSIDED』上で、マジョルカへの移籍は久保の成長に繋がらないため、「ベストなオプションではない」「マドリーは別のクラブを探すべき」と主張。先行きを不安視している。

 同記事は、ビッグクラブでプレーするために必要不可欠であり、なおかつ久保に欠けているものが、「ポジションの意識」だと指摘。それを身につけるには、王様としてプレーできるマジョルカでは不十分だというのだ。
 
「1度目のマジョルカ在籍時を考えれば、クボはチームのベストプレーヤーだった!全ての攻撃は彼のおかげで行なわれ、最大の脅威だった。だが一つ気になるのは、ポジショナルなカオスを避けるために、プレスバックしたり、ポジションを守ったりといった義務や責任は、あまり与えられていなかったということだ。具体的な役割やスペースを割り当てられながら危険を生み出そうと試みること、守備をサポートするために戻ることは、ウインガーの重要な側面だ。とんでもなく優れてでもいない限り、制限なく動き回ることはできない」

 同記事は、慣れ親しんだマジョルカで得意なプレーをすることが、久保の自信回復につながる可能性を認めつつも、課題の克服に直接は結びつかないことを問題視。「割り当てられた役割」「制限なく動き回る自由がなかったこと」が昨季のビジャレアル、ヘタフェでの低調の原因だったと振り返り、ステップアップする上でやがて越えねばならない壁には、今のうちに立ち向かっておくべきという考えを示した。

 実際、中小クラブで際立った活躍を見せていたドリブラーが、ビッグクラブでは組織の一員として振る舞うことを求められ、適応に苦しむケースも少なくない。20歳になり、真価が問われるスペイン3年目。出場機会や戦術の適合性など検討すべき点は多いが、未来に繋がる決断が求められる。

構成●THE DIGEST編集部