海外サッカー

ジダンは名物オーナーの一言で、マラドーナは軍事政権の圧力で――。大物たちの「歴史を変えた移籍」が破談した理由

THE DIGEST編集部

2021.12.13

若かりしジダン(左)とマラドーナ(右)。このサッカー史で語り継がれるふたりは、過去にイングランド挑戦の可能性があった。(C)Getty Images

 事実は小説より奇なり――。さまざまなドラマが巻き起こるサッカー界は、フィクションよりも不思議なエピソードが存在する。とりわけあらゆる人間の事情が絡む移籍には、周囲を仰天させる物語がある。

 そんな数多のドラマを生み出してきたサッカー界の移籍に興味深く切り込んだのが、英スポーツ専門ラジオ局『talkSPORT』だ。イングランドを中心に、日夜あらゆるサッカー情報を発信し続けている同メディアは、現地時間12月9日に「狂っている? 大物たちの移籍が実現しなかった奇妙な理由」と銘打った特集記事を掲載。そのなかで、過去に成立寸前だったスター選手たちの移籍が破談した理由を紹介している。

「ブラックバーンは明るい未来をオーナーの独断によって放棄した」

 まず、そう紹介されたのは、1995年にボルドーからジネディーヌ・ジダンの獲得を狙ったブラックバーンの動きだ。
 
 当時、鉄鋼業で財を成した地元の名士ジャック・ウォーカー氏によって変貌を遂げていた"ローバーズ"は、アラン・シアラーとクリス・サットンの強力2トップを擁した94-95シーズンに、クラブ史上81年ぶりのトップリーグ制覇。文字通り勢いに乗っていた。

「あのマンチェスター・ユナイテッドを安っぽいチームに見せてやる」と啖呵を切ったウォーカー氏の下で、さらなる躍進を狙ったブラックバーンは、95年の夏にボルドーで才能の片鱗を見せつけていた23歳のジダンに目をつける。

 しかし、周囲が獲得に太鼓判を押すなかで、サッカー史に残る偉才を受け入れなかったのは、他でもない"御大"のウォーカー氏だった。『talkSPORT』は、当時の舞台裏を次のようにまとめている。

「当時のブラックバーンには明るい未来があった。そしてクラブは、フランスで輝いていたジネディーヌ・ジダンとクリストフ・デュガリーの二枚抜きを狙ったが、何も知らないオーナーであるウォーカーは、『ティム・シャーウッドがいるのになぜジダンたちと契約する必要があるんだ』とふたりの契約に反対した。この決断は今になってみれば、間違いだったと言わざるを得ない」
 
NEXT
PAGE
天災で破談したレバンドフスキのブラックバーン入り