現地時間５月22日、セリエA最終節でサッスオーロを３-０で下したミランは、11シーズンぶり19回目の優勝を飾った。

　敵地マペイ・スタジアムの内外に数万人のサポーターが駆け付けてアウェーチームを鼓舞した一戦は、相手DFのミスを突いたラファエウ・レオンのクロスをオリビエ・ジルーが合わせ、開始17分でスコアが動くと、32分には再びこのコンビで加点、さらにその２分後にフランク・ケシエがレオンの折り返しをフリーで合わせて３点目を挙げ、ほぼ勝利を確定。残り時間を自慢の堅守でしのいで、ついに栄光の瞬間を迎えた。
【動画】ミランが11年ぶりのスクデット奪還！ サッスオーロ相手に４発快勝で優勝決定 　2010-11シーズンにマッシミリアーノ・アッレグリ監督の下、ズラタン・イブラヒモビッチ、ロビーニョ、ジェンナーロ・ガットゥーゾ、クラレンス・セードルフ、アンドレア・ピルロ、アレッサンドロ・ネスタ、チアゴ・シウバら多くのワールドクラスを揃えて18個目のスクデットを手にしたミランだが、すでにこの頃から財政は逼迫し、主力選手を年々放出していった結果、かつて欧州を席巻した強さは失われ、歴史的な低迷期を過ごしてきた。

　しかし、2018年にエリオット・マネジメントがミランの経営権を取得し、クラブのレジェンドであるパオロ・マルディーニをフロントに招聘。そして2019-20シーズン途中にステーファノ・ピオーリが監督に就任し、冬にイブラヒモビッチが８年ぶりに復帰を果たすと、チームは快進撃を見せて６位フィニッシュ。続く2020-21シーズンは２位でチャンピオンズ・リーグ出場権を獲得、そして今季はチームとして素晴らしいまとまりを見せ、終始安定感を示して勝点86を稼ぎ出し、最終節で長年の苦労と努力が報われることとなった。

　サッスオーロ戦では試合終了前から何度も喜びのジェスチャーでサポーターを沸かせるなど、今までとは違う姿を見せたピオーリ監督は、優勝決定後、「スクデットの背景には、多くの幸せと、２年半前に私を監督に選んでくれたクラブに対する感謝の気持ちがある。クラブの首脳陣、スタッフ、選手たちはファンタスティックであり、優れた集団だ」と、感謝とクラブへの称賛のコメントを発した。

　選手時代には黄金期のユベントスで1985-86シーズンにスクデットを獲得し、85年12月には東京・国立競技場でのトヨタカップで名リベロ、ガエタノ・シレアの負傷を受けて交代で最終ラインに立ち、世界一に貢献したこともあるピオーリ監督も、2003年に始まったトップチームでの監督キャリアにおいては、今回が初めてのタイトルということで感激を隠せず、「（２年前に亡くなった）父親に捧げたい。彼がどこにいても、私がやったことを誇りに感じていることだろう」と語っている。