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メッシの殊勲弾で望みを繋いだアルゼンチン。マラドーナ以来の優勝に期待再燃も「メッシ依存を終わらせるべき」の声も【W杯】

THE DIGEST編集部

2022.11.28

自らのゴラッソでチームを窮地から救ったメッシ。その英雄的な活躍には賛辞とともに、アルゼンチンが抱える懸念点も指摘された。(C)Getty Images

 カタール・ワールドカップの初戦でサウジアラビア代表に1-2の逆転負けを喫し、いきなり崖っぷちに追い込まれたアルゼンチン代表は、現地時間11月26日にメキシコ代表と対戦。ここでもなかなかゴールが奪えずに苦しんだが、貴重なチームのファーストゴールを決めて流れを変えたのが、35歳の大エース、リオネル・メッシだった。

 64分に右サイドからアンヘル・ディ・マリアの横パスをバイタルエリアで受けたメッシは、敵のペナルティーエリア手前で迷わず左足を振り抜いてグラウンダーのミドルシュート。ボールはゴール右隅に吸い込まれた。

 チームに勢いをもたらしたキャプテンは、さらに87分には左サイドでエンソ・フェルナンデスにアシスト。メッシのパスを受けた21歳のMFはボックスに侵入してフェイントでマーカーをかわし、巧みなシュートでメキシコ・ゴールを破ってみせた。

 優勝候補筆頭から"陥落"していたアルゼンチンに望みを取り戻させた後、メッシは「今日が僕らにとってのファーストゲームと言える。結果を残さなければならず、負けるわけにはいかなかった。この大会を制するためには勝つ必要があり、何の疑問も抱かずに試合に臨んだ」とポジティブに語り、また「足首を痛めたが、我慢しながらプレーした」と明かしている。
 
 アルゼンチンは初勝利の喜びを爆発させ、チームに帯同した母国ジャーナリストが公開した動画には、ロッカールームでチームの面々がまるで優勝したかのようにお祭り騒ぎをする様が収められていた。そこからは最悪のスタートを切り、早期敗退の可能性が囁かれるなか、ひとまず危険を回避した安堵ぶりが窺える。

 母国紙『Ole』は、過度なプレッシャーに苛まれていたチームが、それから解放されたとして、今後の快進撃に期待を寄せている。

「(2021年の)コパ・アメリカでの優勝が、このチームにとって非常に大きな重荷になっていたのだとすれば、このメキシコに対する勝利によって、解放されたに違いない。アルゼンチンが今後、良い流れを維持するとともに、悪い兆候を制御して、カタールに長く留まり続けられるものと信じている」

 あるいはアルゼンチンにとってターニングポイントとなるかもしれない。このメキシコ戦、メッシは勝利の殊勲者となっただけでなく、W杯通算出場数が同国では最高の「21」に。そして通算得点数は「8」に達した。これは、いずれも2年前に亡くなった英雄ディエゴ・マラドーナの記録に追いつくものであり、彼の命日(11月25日)の翌日にこれを成し遂げたというのが、何とも感慨深い。
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「アルゼンチンは彼に依存するのをやめるべきである」