90分を通した試合内容を考えれば、「よもやの敗戦」と言うべきなのかもしれない。現地時間11月27日に行なわれたカタール・ワールドカップ(W杯)のグループリーグ(E組)第2戦でコスタリカ代表に0-1と敗れた日本代表である。
初戦でドイツ代表から逆転勝ち(2-1)を収め、堂々たるスタートを切っていた日本。サウジアラビア代表がアルゼンチン代表を相手に逆転勝ちを収めるなど、アジア勢の躍進が顕著な今大会にあってサムライブルーの勝利も世界的な話題となった。
だからコスタリカ戦では慢心があった、とは言わない。むしろ試合の入り方と進め方はドイツ戦以上の内容で、決してコスタリカ相手に後手に回るようなことはなかった。攻勢を強めながら、後半に入ってからは終始主導権を握った森保ジャパンは、大半の時間を敵陣でプレーし続けた。
しかし、フィニッシュワークの精彩を欠いた。もちろんコスタリカ守備陣の奮闘はあったが、クロスとシュートが思うようにいかず。徐々に選手たちにも焦りや苛立ちの色が見え始めていた。そして81分に均衡を破られる。吉田麻也が守田英正へ繋ごうとした中途半端な浮き球のパスがミスとなり、これをさらわれ、ケイセル・フレールにミドルシュートを決められてしまった。最終的にこれが決勝点となった。
文字通りの痛恨だった。時間帯としても、決定機に繋がったのがベテランの不用意なミスであったところも、精神的に重くのしかかるものだった。
グループリーグ突破を考えれば、最悪でも勝点1が欲しかった試合。ゆえに「繋げると思った」と試合後に振り返った吉田が、あの場面でドラスティックに大きくボールを蹴りだせなかったのかと思わなくはない。しかし、すべてが終わった今となっては、それも後の祭りだ。むしろここは切り替えるべきではある。
ただ、グループ突破が懸かる最終節では強敵スペインを相手に引き分け以上の結果を残さなければならない。まさに苦境だ。そんな状況下で思い出したい言葉がある。それは今大会のドイツ戦後に、イタリア紙『La Gazzetta dello Sport』のインタビューに応じていた元日本代表監督であるアルベルト・ザッケローニ氏のものだ。
カルチョの酸いも甘いも熟知する69歳の名将は、「もう私が率いていた頃の日本とは全く違う」と前置きしたうえで、次のように繰り返した。
「テクニックや視野の広さ、そして体力の面を見ても、これだけの資質を持った選手たちはそうそういないだろう。ただ、日本人は個性や自信に欠ける側面がある。それを植え付けようとしたのが、私でもあった。私の率いた時代もアジアを制しただけでなく、親善試合でアルゼンチンやフランスに勝ち、オランダとは2-2で引き分けもした。ただ、ワールドカップでは自信のなさが出てしまって酷い結果になった。あれは良いチームだったし、今大会のように団結していた」
「繰り返しになるが、彼らはすぐに落ち込むところがある。だから、ワールドカップのような舞台で勝てるかどうかは、常にチームとして自信があるかどうかにかかっている」
唯一の枠内シュートに屈した森保ジャパン。とはいえ、百戦錬磨の名将の言葉を鵜呑みにするならば、スペイン戦に向けてはドイツからの金星で深めたであろう「大国ともやれる」という"自信"をプレーに活かしていくべきではないだろうか。
構成●THE DIGEST編集部
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だからコスタリカ戦では慢心があった、とは言わない。むしろ試合の入り方と進め方はドイツ戦以上の内容で、決してコスタリカ相手に後手に回るようなことはなかった。攻勢を強めながら、後半に入ってからは終始主導権を握った森保ジャパンは、大半の時間を敵陣でプレーし続けた。
しかし、フィニッシュワークの精彩を欠いた。もちろんコスタリカ守備陣の奮闘はあったが、クロスとシュートが思うようにいかず。徐々に選手たちにも焦りや苛立ちの色が見え始めていた。そして81分に均衡を破られる。吉田麻也が守田英正へ繋ごうとした中途半端な浮き球のパスがミスとなり、これをさらわれ、ケイセル・フレールにミドルシュートを決められてしまった。最終的にこれが決勝点となった。
文字通りの痛恨だった。時間帯としても、決定機に繋がったのがベテランの不用意なミスであったところも、精神的に重くのしかかるものだった。
グループリーグ突破を考えれば、最悪でも勝点1が欲しかった試合。ゆえに「繋げると思った」と試合後に振り返った吉田が、あの場面でドラスティックに大きくボールを蹴りだせなかったのかと思わなくはない。しかし、すべてが終わった今となっては、それも後の祭りだ。むしろここは切り替えるべきではある。
ただ、グループ突破が懸かる最終節では強敵スペインを相手に引き分け以上の結果を残さなければならない。まさに苦境だ。そんな状況下で思い出したい言葉がある。それは今大会のドイツ戦後に、イタリア紙『La Gazzetta dello Sport』のインタビューに応じていた元日本代表監督であるアルベルト・ザッケローニ氏のものだ。
カルチョの酸いも甘いも熟知する69歳の名将は、「もう私が率いていた頃の日本とは全く違う」と前置きしたうえで、次のように繰り返した。
「テクニックや視野の広さ、そして体力の面を見ても、これだけの資質を持った選手たちはそうそういないだろう。ただ、日本人は個性や自信に欠ける側面がある。それを植え付けようとしたのが、私でもあった。私の率いた時代もアジアを制しただけでなく、親善試合でアルゼンチンやフランスに勝ち、オランダとは2-2で引き分けもした。ただ、ワールドカップでは自信のなさが出てしまって酷い結果になった。あれは良いチームだったし、今大会のように団結していた」
「繰り返しになるが、彼らはすぐに落ち込むところがある。だから、ワールドカップのような舞台で勝てるかどうかは、常にチームとして自信があるかどうかにかかっている」
唯一の枠内シュートに屈した森保ジャパン。とはいえ、百戦錬磨の名将の言葉を鵜呑みにするならば、スペイン戦に向けてはドイツからの金星で深めたであろう「大国ともやれる」という"自信"をプレーに活かしていくべきではないだろうか。
構成●THE DIGEST編集部
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