現地時間12月９日に行なわれたアルゼンチンとオランダのカタール・ワールドカップの準々決勝は、文字通りの死闘となった。

　アルゼンチンがリオネル・メッシの１ゴール、１アシストの活躍で２点を先行するも、オランダが83分と90分＋11分にヴォウト・ヴェフホルストの連続ゴールで同点に。そして延長戦へと突入。しかし、両軍ともに決定機を逸して試合はPK戦となった。

　迎えたPK戦では「僕らの方が根性と情熱があった」と語ったアルゼンチンの守護神エミリアーノ・マルティネスが奮闘。相手１番手のフィルジル・ファン・ダイクと、２番手のステフェン・ベルハウスのシュートをいずれもドンピシャのタイミングで完全にストップしたのだ。

　これで優位に立った南米王者は、３人が危なげなく成功。４人目のエンゾ・フェルナンデスこそ外してしまったが、５人目のラウタロ・マルティネスがきっちり決めて、欧州の雄との激闘を制したのである。

　そんな試合終了直後だった。ハーフウェーライン付近でラウタロのキックを見つめていたアルゼンチン選手たちは勝利を喜ぶとともに、真横に立っていたオランダの選手たちを挑発するような振る舞いを見せた。

　この瞬間を英紙『I』のアライ・マッケイ記者がツイッター上で公開すると、敗者を刺激する「酷い行為」としてSNSで波紋を呼んだ。
  　だが、アルゼンチンの選手たちが興奮気味な振る舞いを見せていたのには理由があった。というのも、彼らは先に“挑発”をされていたのだ。

　アルゼンチンのラストキッカーであるラウタロがペナルティースポットに向かっていた時だった。オランダの選手たち４人が25歳の若きストライカーを取り囲むようにして近づき、失敗を誘うように執拗にプレッシャーをかけていたのである。

　一連のシーンについて母国紙『La Voz』は「アルゼンチンの選手たちがオランダを嘲笑った理由」と銘打った記事で、次のように描写した。

「オタメンディは両手を耳に当てた。そしてパレデス、ディ・マリア、モンティエルはオランダ人に面と向かって怒鳴りつけた。そして守護神のマルティネスはフラストレーションを爆発させ、オランダのベンチに不満をこぼした。これは彼らにとって大きな安堵であり、試合前から続いていたオランダ側からの『辛い当たり』に対する報いである」

　相手の仕掛けてきた心理戦を制したからこそ、アルゼンチンは「見たかっ！」と挑発的な振る舞いを見せたのだった。

構成●THE DIGEST編集部

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