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日本代表

次回W杯、32→48か国参加は日本代表の「ベスト8」到達へ追い風になる? 番狂わせ連発の流れは今後も続くか【コラム】

THE DIGEST編集部

2022.12.17

ドイツ戦で同点弾を挙げた堂安(8番)は、スペイン戦でも起死回生の同点ゴールをゲット。日本の快進撃の原動力となった。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部/JMPA代表撮影)

ドイツ戦で同点弾を挙げた堂安(8番)は、スペイン戦でも起死回生の同点ゴールをゲット。日本の快進撃の原動力となった。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部/JMPA代表撮影)

 ワールドカップ(W杯)はカナダ・アメリカ・メキシコの北中米3か国で開催される次回2026年大会から、48の参加国によって争われる。大幅な参加国増は、日本代表が今大会の目標に掲げていた「ベスト8」の到達に追い風となるのか? そして、大会そのものはどう変化していくのか。スポーツライターの加部究氏に見解を伺った。

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 W杯の参加国が、4年後には現行の「32」から「48」に膨れ上がる。アジア枠も事実上倍増するので、日本が大陸予選で苦しむとは考え難い。だが参加へのハードルが下がるのは、必ずしも追い風になるとは限らない。また出場権の確保が楽だと感じられるのも一過性なのかもしれない。

 W杯の歴史を辿れば、1950年から1978年までは16か国で争われ、1982年からは出場枠が24か国に増え、さらに1998年に8か国が増枠され、日本はこのフランス大会から皆勤を続けている。アジアからは1954年スイス大会に韓国が初出場したが、まだ大陸間の格差は著しくハンガリーに0-9、トルコにも0-7で敗れて大会を去った。だがその韓国が1986年メキシコ大会からは1度も欠かさずに出場を続け、2002年日本との共催大会では欧州、南米の2大大陸以外では初めてベスト4に進出した。

 ちなみに86年メキシコ大会は、日本とのホーム&アウェーを連勝して出場を果たしている。日本は、ここで先にプロ化を実現していた韓国との実力差を痛感したことで、やがてJリーグ構想が浮上した。こうして同大陸内のライバルが世界の舞台を踏めば、それに刺激を受けた周辺国のレベルも引き上げられていく。

 16か国体制が続く間は、アジアに与えられた出場枠はオセアニアと合わせてひとつだけで、それはアフリカや北中米も同じだった。一方欧州は、16か国体制最後の1978年アルゼンチン大会を例に採っても前回優勝の西ドイツと合わせて10か国も出場しており、これでは当然ながら発展途上地域との格差は広がるばかりだった。実際北中米では独壇場だったメキシコでも、参加国中で唯一1次リーグを3連敗。40年後のロシア大会開幕で土をつけることになるドイツ(当時西ドイツ)には、0-6と打ちのめされた。

 2大大陸と他地域との格差は、1982年スペイン大会で24か国に増枠されても、あまり縮まらなかった。北中米代表のエルサルバドルは、ハンガリーに1-10と叩きのめされるなど1次リーグで3連敗。ただしそのハンガリーも、このステージで敗退している。同じようにアジア・オセアニア代表も、ニュージーランドが3連敗。もうひとつのクウェートが辛うじて勝点1を持ち帰った。

 しかし1998年フランス大会で32か国まで増枠される頃には、だいぶ様相が変わった。グループステージ(GS)での最大得点差試合は、オランダが韓国を、アルゼンチンがジャマイカを、いずれも5-0で下したものだ。だがそのジャマイカも日本を破り、韓国もベルギーと分けて勝点は確保している。
 
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