ドラマチックな戴冠劇だった。

　現地時間12月18日、アルゼンチン代表はカタール・ワールドカップの決勝でフランス代表と対戦。３-３で迎えたPK戦（４-２）の末に激闘を制し、英雄にして、「神」と称されたディエゴ・マラドーナを要した1986年のメキシコ大会以来３度目の世界制覇を達成した。

　壮絶な打ち合いだった。前半に主導権を握ったアルゼンチンは、リオネル・メッシとアンヘル・ディ・マリアのゴールで２点を先行。しかし、後半にフランスが80分と81分に“怪物FW”キリアン・エムバペが立て続けにゴールをもぎ取って土壇場で試合を振り出しに戻す。

　さらに延長戦でもドラマは続いた。109分にメッシが勝ち越し弾を決めれば、試合終了間際の118分にアルゼンチンのゴンサロ・モンティエルがハンドで献上したPKをエムバペがゲットして同点としたのである。

　手に汗握る攻防戦を繰り広げたなかで迎えたPK戦では、互いに一人ずつが決めて迎えたフランスの２人目キングスレイ・コマンのキックをアルゼンチンの守護神エミリアーノ・マルティネスが横っ飛びでセーブした。
  　さらに３人目のオーレリアン・チュアメニが外したフランスに対して、アルゼンチンは３人全員が成功。最後はエムバペに同点弾を許すPKを献上したモンティエルが冷静に決めて、快哉を叫んだ。

　激闘を制したアルゼンチン、そしてキャリアで唯一手にできていなかったワールドカップを掴んだメッシには、海外メディアからも賛辞が止まらない。英公共放送『BBC』は「これ以上にない瞬間だ。メッシは間違いなく史上最高と言える決勝戦の末に、ワールドカップを手に取り、カタールの空へと持ち上げる」と絶賛した。

　そして同局で解説を務めた元イングランド代表FWアラン・シアラーは、「息切れをしているよ。本当に信じられない決勝戦だった」と称え、「この場にいられて本当に幸せだと思う。こんな決勝は見たことがないし、これからも見ることはないだろう。本当にすごかった」と脱帽した。

　世界を感動と熱狂を提供した決勝。激闘を演じた両国の戦士たちへの称賛の声はしばらく収まりそうにない。

構成●THE DIGEST編集部

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