目前だった60年ぶりとなる連覇の夢は砕け散った。

　現地12月18日、サッカーのカタール・ワールドカップ（W杯）決勝はアルゼンチン代表がフランス代表をPK戦の末、4-2で下し36年ぶり３度目のW杯制覇を成し遂げた。
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　史上３か国目の連覇を狙ったレ・ブルー（フランス代表の愛称）は前半にリオネル・メッシとアンヘル・ディ・マリアのゴールでアルゼンチンにリードを許す苦しい展開だったが、ディディエ・デシャン監督は41分にウスマンヌ・デンベレと、チーム２位の４得点を挙げていたオリビエ・ジル―の２人を交代させる大胆な采配を見せると、71分にはテオ・エルナンデズと、ここまで攻撃のタクトを振っていたアントワーヌ・グリーズマンを交代させ、流れを引き寄せた。

　すると、80分にキリアン・エムバペがPKを決め１点差に迫ると、その1分後に再びエムバペが目の覚めるような鮮烈ボレーを決めてフランスが同点に追い付いた。しかし、延長108分に再びメッシに得点を許したが、前回王者は諦めなかった。

　118分にアルゼンチンのハンドでPKを得ると、これをエムバペが成功。ファイナルという大舞台で、エムバペは圧巻のハットトリックを達成した。W杯決勝でのハットトリックは1966年イングランド大会でジェフ・ハーストが西ドイツ戦で達成して以来、56年ぶりの快挙だった。

　両国３度目の優勝を懸けた運命のPK戦は、アルゼンチンが３人連続で成功したのに対し、フランスは２人目のキングスレー・コマンのシュートがGKにセーブされ、続く３人目のオーレリアン・チュアメニのシュートはゴール左隅に外れた。最後は、アルゼンチンの４人目ゴンサロ・モンティエルのシュートがゴール左下に沈めると、フランスの連覇の夢は潰えた。
  　レ・ブルーを率いたデシャン監督は延長戦、そしてPK戦まで追い詰めたものの、あと一歩及ばなかったことについて「残酷だった」とカタール放送局『Aljazeera』に語っている。54歳の名将は複数の海外メディア記者団に対し、「前半の60分間は、エネルギーに溢れたトップクオリティのアルゼンチンに対して、あまり良い出来ではなかったが、非常に難しい状況から逆転した。その分さらに悔いが残る」と語っている。

　続けてデシャン監督は、「アルゼンチンの功績を取り上げるつもりはないが、たくさんの感情があったし、あと一歩のところだっただけに、最後は残酷だった」と付け加えた。

　また、2018年ロシア大会でフランスを優勝に導いたデシャン監督は決勝戦までの間に何人かの選手が体調不良を抱えており、それが先述した60分間のパフォーマンスの低さの一因だったことを示唆した。

「フランスが不調だった理由には、多くの理由がある。何人かの重要な選手が元気をなくしていたが、経験が少ないフレッシュで質の高い若い選手を起用することで、我々は夢を見続けることができた。しかし、残念ながらフランスの夢は叶わなかった」

　惜しくも準優勝に終わったとはいえ、開幕前には４年前の優勝の立役者であるエンゴロ・カンテやポール・ポグバ、カリム・ベンゼマなど主力を欠いたなかグループステージ、決勝トーナメントを勝ち進みファイナルまで進出した。

　アルゼンチンを最後まで追い詰めた前回王者の底力は称賛に値すると言えるだろう。今大会、得点王を獲得した新皇帝エムバペを中心に、レ・ブルーは新たなスタートを切る。

構成●THE DIGEST編集部

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