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海外サッカー

「大きな犠牲を払った大会」国際人権団体がFIFAとカタール政府に労働者補償を請求!「最も金のかかったイベント」と皮肉【W杯】

THE DIGEST編集部

2022.12.19

アルゼンチンの36年ぶりの優勝で幕を閉じたW杯。次回開催は初の3か国共催で、今大会以上に運営費用がかかると見込まれている。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部/JMPA代表撮影)

アルゼンチンの36年ぶりの優勝で幕を閉じたW杯。次回開催は初の3か国共催で、今大会以上に運営費用がかかると見込まれている。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部/JMPA代表撮影)

 現地12月18日、サッカーのカタール・ワールドカップ(W杯)決勝戦が行なわれ、アルゼンチンがフランスと対戦。3-3の壮絶な打ち合いの末、PK戦までもつれ込んだ激闘は4-2でアルゼンチンが勝利。1986年メキシコ大会以来36年ぶり3度目のW杯優勝を飾り、約1か月に及んだ中東初開催のサッカーの祭典は幕を閉じた。
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 アルゼンチンサポーターの歓喜の声が響き渡るルサイル・スタジアム。日曜日に開催された決勝戦は、「国際移民の日」と「カタール建国記念日」の両方と重なっていた。

 FIFA(国際サッカー連盟)のジャンニ・インファンティーノ会長は、「史上最高のワールドカップだ」と、開催したカタールのボランティア団体と主催者を称賛したが、カタールの政治活動家や評論家などからは、インファンティーノ会長のコメントについて懐疑的な意見が多い。なかには、「インファンティーノ会長は未払い賃金、負傷、死亡に対する補償に値する移民(出稼ぎ)労働者の犠牲を無視している」という意見もある。

 国際人権団体の『ヒューマン・ライツ・ウォッチ』、『アムネスティ・インターナショナル』、『フェア・スクウェア』などは、FIFA W杯カタール2022を実現した労働者のために、FIFAやカタール政府が補償を行なうよう求めるべきだと訴えている。

 アムネスティ・インターナショナルの経済・社会部門の責任者であるスティーブ・コックバーン氏は米放送局『CNN』に対し、「サッカーがいかに素晴らしくても、この大会は何十万人もの労働者に大きな犠牲を強いることになった」と述べている。

 続けて同氏は「これらの労働者とその家族は補償を受ける資格があり、FIFAとカタールが、このワールドカップを実現させた全ての人々の救済を確保することを約束するのを私たちはまだ待っている」と付け加えた。
 
 コックバーン氏はカタールがいくつかの労働改革を行なったことを認めながらも、それが十分なものではないとしている。ヒューマン・ライツ・ウォッチのグローバル・イニシアチブ担当ディレクターであるミンキー・ワーデン氏も、これに同意している。「カタールが行なった労働改革でさえ、遅すぎたり範囲が狭すぎたり、多くの労働者に恩恵を与えるには実際の運用が弱すぎたりしている」と、W杯決勝を前に公開された自身のブログ記事で訴えている。

 さらにワーデン氏は「カタールでのW杯は、史上最もお金のかかるスポーツイベントとして、そして最も致命的なイベントとして間違った理由で記憶されるだろう」と付け加えている。

 カタール政府によると、W杯のスタジアムを新たに建設するために3万人以上の外国人労働者が投入されたという。W杯のため7つの新しいスタジアムが何もない砂漠から建設され、湾岸諸国は空港を拡張して、新しいホテル、鉄道、高速道路を建設した。アムネスティ・インターナショナルによれば、300万人近い人口のうち、労働力の9割を占める移民労働者によって、全てが建設されたという。

 アラブ諸国で初めて開催されたサッカーの祭典は興奮冷めやらぬまま終焉を迎え、次回2026年は米国、メキシコ、カナダの3か国共催となり、参加国も32チームから48チームに拡大。莫大な費用がさらに投資されることが見込まれている。

構成●THE DIGEST編集部

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