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批判が殺到したアルゼンチン代表守護神の「黙とう」はエムバペに原因あり。物議を醸した“南米軽視発言”は逆鱗に触れた【W杯】

THE DIGEST編集部

2022.12.19

表彰式では肩を並べたE・マルティネス(中央)とエムバペ(右)。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部/JMPA代表撮影)

 見事に史上3度目のワールドカップ(W杯)制覇をやってのけたアルゼンチン。彼らが試合後のロッカールームで見せた振る舞いが波紋を呼んだ。

 現地時間12月18日、フランスを3-3で迎えたPK戦の末に撃破したアルゼンチン。文字通りの死闘を終えた彼らは、ロッカールームで思い思いに優勝の喜びをかみしめていた。そんななかで、守護神エミリアーノ・マルティネスが見せた振る舞いが物議を醸した。

 選手たちが隊列を成して部屋の中央に用意されていたテーブル周辺を歌いながら回っていた時だった。突如として静止を呼びかけたE・マルティネスは、数秒の沈黙の後に「エムバペに黙祷を!」と叫んだのである。

 表彰式でE・マルティネスは、自身の股間に最優秀GK賞のトロフィーを当てて、おどけたポーズをとってもいた。そうした"お調子者"っぷりを見せていただけに、ハットトリックを決めていた相手エースへの挑発には批判が相次いだ。SNSでは「まったく品がない」「美しい勝者にふさわしくない」といった辛辣な言葉が並び、30歳の守護神は品格を問われたのである。

 もっとも、E・マルティネスが一個人に対しここまでの発言をする原因は、他でもない当事者のキリアン・エムバペにある。今年5月にアルゼンチンの放送局『TNT Sports』のブラジル版のインタビューでW杯の優勝候補を問われたフランスの怪童は、「もちろん一番はフランスだよ」と答えたうえで、こう切り出したのだ。
 
「僕らには常にハイレベルの試合をプレーしているというアドバンテージがある。たとえば、UEFAネーションズリーグとかがそうだ。ワールドカップになっても僕らは準備ができている。でも、アルゼンチンやブラジルはそのアドバンテージがないでしょ。過去の大会を見ても、常にヨーロッパ勢が勝っている。南米ではヨーロッパほどサッカーが進んでいない」

 この発言を聞いたE・マルティネスは当時から「彼は南米について何も知らないだろ。不公平な発言だと思う」「フランスがボリビアのラパス、気温30度のエクアドル、そして息もできないコロンビアでプレーしたらどれだけ楽々とプレーするのか。どうなるのか見てみたい」と怒りを滲ませていた。ゆえに今回のロッカールームで見せた振る舞いは、エムバペに対する"しっぺ返し"でもあったわけである。

 エムバペの発言は半年前のものであり、大人げないと言えばそうなのかもしれない。しかし、公の場で南米サッカーを"格下"と見たエムバペの品格はどうなのか。そうした背景をふまえると、E・マルティネスの言動を、単に一方的には批判できない。

構成●THE DIGEST編集部

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