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日本代表

「もっと上をみろ、空は果てしない」スポーツ選手の人生は、現役生活が頂点なのか? 迷える人たちに伝えたい名将オシムの言葉

THE DIGEST編集部

2023.01.04

オシムが口にした教えの数々は、引退をしたアスリートたちにも共通するものがある。写真:THE DIGEST

オシムが口にした教えの数々は、引退をしたアスリートたちにも共通するものがある。写真:THE DIGEST

 プロスポーツ選手の人生というのは、現役生活だけが最高到達点なのだろうか。

 人生は長い。プロスポーツ選手としてのキャリアが、その後のキャリアに向けて、ポジティブに働く場合もある。だが、ネガティブなものになるのだとしたら悲しい。それはそこまでの取り組みや育成のあり方をも否定する。

 小さいころからスポーツにだけ明け暮れた生活をしていると、セカンドキャリアの過ごし方で苦労するという話がある。スポーツばかりをやっていると、一般常識が身につかなかったりするらしい。指導者仲間から実際にそうした話を筆者も聞いている。

 でもそれは、一般常識が身につかない育成現場がおかしいのではないか。
 
 才能に恵まれ、人一倍の努力を積み、様々なハードルを乗り越え、いろんな縁を手繰り寄せて、プロスポーツの世界に飛び込む。そして、そこでもがいて、自分と向き合い、戦う場所を掴みとった。それなのに、引退した後には何も残らない。

 元日本代表MFで、稀代の名将イビツァ・オシム(故80歳)の教えを直に受けていた羽生直剛はそこに違和感を覚えているという。

「例えば、プロサッカー選手を10年ぐらいやった選手が、『いやもうサッカーしかないから辞めたら何もないんだ』って言っている姿に僕は違和感を感じるんですよね。ものすごい狭き門を通って、プロ選手になって、そこで10年以上やってきた選手って、少なくとも何かの資質がめちゃくちゃ優れてるからじゃないかと思ってるんですよ。

 その強みをもってすれば、次のキャリアだって当たり前のようにいい活躍ができるんじゃないかと思うし、そうなるために自己分析して、次へのビジョン作りとかに結びつけられるはずなんです。

 だからこそサッカー現場でも、そうした個人の強みに目を向けてあげられる指導者の人が増えてくれたらいいなと思います。例えば、小学生とかでも、みんなから『ちっちゃくて駄目だ』って言われてる子に、『いや、お前にはこういう良いところがあるぞ』って言ってあげられる指導者が増えてほしい。結果として、サッカー選手になれなかったとしても、違う職業に就いたとしても、その『良いところ』っていうのは強みとして、ずっと残るものであってほしいんです」
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