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「最悪な監督に利用されるな」新天地サウジへ赴くロナウドに各方面から忠告… 人権団体からは社会的役割の要求も

THE DIGEST編集部

2023.01.06

新天地アル・ナスルでC・ロナウドはいかなるパフォーマンスを見せてくれるだろうか。(C) Getty Images

 カタール・ワールドカップ前にマンチェスター・ユナイテッドと契約を解除し、その去就が注目されていたポルトガル代表のクリスチアーノ・ロナウドは、昨年12月31日にサウジアラビアのアル・ナスルへの加入を発表した。

 契約期間は2025年までで、年俸は約2億ドル(約268億円)、さらにクラブアドバイザーとして5年間で計5億ドル(約690億円)を非課税で受け取るという、まさに天文学的な数字が並び、一部では「都落ち」など辛辣な声が上がってはいるものの、その価値の高さに変わりはないと言えよう。

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 一昨年にも同国のアル・ヒラルからオファーを受けながらもマンU残留を選んだが、今回、ついに欧州を離れることになったロナウド。この大きな決断の裏には、マンU退団の原因となったピアーズ・モーガン氏によるインタビューをめぐって、長年代理人を務めたジョルジュ・メンデス氏と昨年11月に袂を分かったことが大きいとされる(ブラジルの総合メディア『globo』より)。

 チャンピオンズ・リーグ出場を望むロナウドの意向に沿うクラブを見つけられなかったことも理由のひとつといわれ、以降は個人マネジャーを務める元選手のリカルド・レグフェ氏が後釜に収まり、アル・ナスルとは弁護士の力を借りて個人的に交渉したというロナウドを手助けした結果、今回の案件で3000万ユーロ(約42億円)の手数料を得たと『globo』は報じている。

 サウジという未知の地でのプレーについて、ロナウドは「異なる国での新しい経験をすることに心を躍らせている。サウジはサッカーに対す大きな野心と多くのポテンシャルを有しており、カタールW杯で我々はそのパフォーマンスの高さを目撃した」と期待を語り、新天地のポジティブな印象を明かした。

 しかし、サウジといえば、様々な人権侵害で告発されており、また政府を批判してきたジャーナリストのジャマル・カショギ氏が殺害された事件でムハンマド・ビン・サルマン皇太子がこれを指示したとの見方が世界に広がるなど、国際的には暗い部分の多い国であるとされている。

 そのため、アムネスティ・インターナショナルは、「サウジでは、昨年のある1日で81人が極刑に処され、その多くはひどく不公平な裁判によるものだった。同国政府はまた、表現と結社の自由に対する弾圧を続けており、人権擁護者、女性の権利活動家、その他の政治活動家に重い懲役刑を科している」と訴え、ロナウドに対して、その発信力を活かして世界に同国の真の姿を伝えることを求めた(英国公共放送『BBC』より)。

「ロナウドはサウジを称賛するだけではなく、この国の人権問題にも注意を向けるべきだ。彼の名声と有名人としての地位が、サウジのスポーツウォッシング(スポーツを利用して社会問題から人々の関心を遠ざけること)の道具になることを許してはならない。彼はアル・ナスルでの時間を使って、この国の無数の人権問題について発言すべきだ」
 
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