またひとり、名手が選手キャリアに幕を下ろした。1月9日、ロサンゼルスFCに所属するウェールズ代表FWのガレス・ベイルが自身のSNSを通じ、現役引退を発表した。
【動画】マドリーにCL戴冠をもたらした歴史的な一撃! ベイルのバイシクル弾をチェック
小国ウェールズが生んだ稀有なタレントだった。2006年に下部組織から所属していたサウサンプトンでプロデビューを飾ったベイルは、2007年の夏にトッテナムに移籍。ここで着実に力をつけ、スターダムをのし上がり、2013年の夏には移籍金1億100万ユーロ(当時レートで約139億円)でレアル・マドリーに加入。5度のチャンピオンズ・リーグ制覇を経験するなど、銀河系軍団の一員として数多の勝利に貢献した。
また、111キャップを刻んだウェールズ代表では、エースとしてEURO2016とEURO2020、64年ぶりとなるカタール・ワールドカップ出場に導いたベイル。昨年6月からは欧州を離れ、MLSのロサンゼルスFCでプレーしていたが、本人が「慎重に熟考した」という33歳での引退には「早すぎる」「まだやれる」という声も少なくない。
爆発的なスプリント力と高精度かつ強力な左足でのキック、そして時折繰り出す、アクロバティックなプレーの数々でファンを魅了した。一方でベイルはSNS隆盛時代を象徴するようなスターでもあった。
とりわけ相次ぐ怪我にも泣かされ、出場機会に恵まれなかったレアル・マドリーでの晩年には、ファンからの誹謗中傷に悩まされた。
ベイルが自らのSNSに何気なく趣味のゴルフを嗜む動画を公開すれば、それが“火種”となった。彼の振る舞いは「約1700万ユーロ(約21億円)という高額年俸をもらうスターにふさわしくない」と炎上騒動に発展するなど、いわれのない批判に苛まれたのである。
SNSの発展によりファンと選手の関係性が近くなった。一方でピッチ内のパフォーマンスとは関係がない部分も監視され、不必要な言葉を浴びるケースも少なくない。そんなSNS全盛時代にキャリアの最盛期と過渡期を送ったベイルは、まさに時代が生んだ負の側面を象徴するような選手でもあった。
2020年にベイルはアメリカのゴルフポッドキャスト『The Eric Anders Lang Show』で、「批判」に対する持論を口にしている。その言葉は誹謗中傷に屈しない強い意志がこもっていた。
「良いプレーができず、8万人の観衆からブーイングを受けたことがあった。何度か経験したことがある。それは良いことではないし、自信をなくさせる」
「得点やアシストなしでも自分は良いプレーをしていると思っても、人はゴールやアシストっていう『ワオ』となるようなことばかりが好きなんだ。それはいつもできることじゃないのにね」
「多くの人がゴルフを問題視するけど、理由が分からないよ。医者とも話して、みんな『やっても大丈夫』というんだからね。多分メディアが良くないと思っているんだ。『休むべきだ』とか、『ケガにつながる』とね。NBAのステフィン・カリーは試合当日の朝にゴルフをしているんじゃないかな。でも、2日前に僕がやると『何をしている?』となる」
引退後のキャリアについては「次のチャプターが用意されている」というベイル。第2の人生では、誹謗中傷に苛まれずに、自由に楽しんでもらいたいものである。
構成●THE DIGEST編集部
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小国ウェールズが生んだ稀有なタレントだった。2006年に下部組織から所属していたサウサンプトンでプロデビューを飾ったベイルは、2007年の夏にトッテナムに移籍。ここで着実に力をつけ、スターダムをのし上がり、2013年の夏には移籍金1億100万ユーロ(当時レートで約139億円)でレアル・マドリーに加入。5度のチャンピオンズ・リーグ制覇を経験するなど、銀河系軍団の一員として数多の勝利に貢献した。
また、111キャップを刻んだウェールズ代表では、エースとしてEURO2016とEURO2020、64年ぶりとなるカタール・ワールドカップ出場に導いたベイル。昨年6月からは欧州を離れ、MLSのロサンゼルスFCでプレーしていたが、本人が「慎重に熟考した」という33歳での引退には「早すぎる」「まだやれる」という声も少なくない。
爆発的なスプリント力と高精度かつ強力な左足でのキック、そして時折繰り出す、アクロバティックなプレーの数々でファンを魅了した。一方でベイルはSNS隆盛時代を象徴するようなスターでもあった。
とりわけ相次ぐ怪我にも泣かされ、出場機会に恵まれなかったレアル・マドリーでの晩年には、ファンからの誹謗中傷に悩まされた。
ベイルが自らのSNSに何気なく趣味のゴルフを嗜む動画を公開すれば、それが“火種”となった。彼の振る舞いは「約1700万ユーロ(約21億円)という高額年俸をもらうスターにふさわしくない」と炎上騒動に発展するなど、いわれのない批判に苛まれたのである。
SNSの発展によりファンと選手の関係性が近くなった。一方でピッチ内のパフォーマンスとは関係がない部分も監視され、不必要な言葉を浴びるケースも少なくない。そんなSNS全盛時代にキャリアの最盛期と過渡期を送ったベイルは、まさに時代が生んだ負の側面を象徴するような選手でもあった。
2020年にベイルはアメリカのゴルフポッドキャスト『The Eric Anders Lang Show』で、「批判」に対する持論を口にしている。その言葉は誹謗中傷に屈しない強い意志がこもっていた。
「良いプレーができず、8万人の観衆からブーイングを受けたことがあった。何度か経験したことがある。それは良いことではないし、自信をなくさせる」
「得点やアシストなしでも自分は良いプレーをしていると思っても、人はゴールやアシストっていう『ワオ』となるようなことばかりが好きなんだ。それはいつもできることじゃないのにね」
「多くの人がゴルフを問題視するけど、理由が分からないよ。医者とも話して、みんな『やっても大丈夫』というんだからね。多分メディアが良くないと思っているんだ。『休むべきだ』とか、『ケガにつながる』とね。NBAのステフィン・カリーは試合当日の朝にゴルフをしているんじゃないかな。でも、2日前に僕がやると『何をしている?』となる」
引退後のキャリアについては「次のチャプターが用意されている」というベイル。第2の人生では、誹謗中傷に苛まれずに、自由に楽しんでもらいたいものである。
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